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新方式によるPUAの導出 (4) |
ここまで見たように、PMHFの正確な議論のためには論文のロジックをPUA起点からPUD起点に組みかえる必要があります。 $$ M_\text{PMHF}=\frac{1}{T_\text{lifetime}}\int_0^{T_\text{lifetime}}q(t)dt=\frac{1}{T_\text{lifetime}}Q(T_\text{lifetime}) $$
現在までの流れ:
- Kパラメータは条件付き確率ではないと仮定する
- PUA $Q(t)$を導出する。その前提は「周期間での修理量は常に$KF(\tau)$に等しい」⇒これより $$ Q(t)=(1-K)F(t)+KF(u), u=t\bmod\tau $$
- PUD $q(t)$はPUA $Q(t)$を時間微分したもの
- PMHFは平均PUD、すなわちPUA $Q(t)$を車両寿命で割ったものとして導出する
改訂版の流れ:
- Kパラメータは条件付き確率と仮定(変更)する
- Kパラメータから微分方程式PUD $q(t)$を導出する $$ q(t)dt=R(t)\lambda dt=f(t)dt $$
- 「周期の最後で検出し修理する」のと「瞬間瞬間で検出し色付けしておき最後で修理する」のとが等価であることを示す
- 修理すればそれは良品となるため、周期の最後では不良品のみがLFとして残ることを示す
- PUDの積分方程式$\int q(t)$を解いて正確なPUA $Q(t)$を導出する $$ Q(t)=K_\text{MPF}R(n\tau)F(u) ,\ \ s.t.\ n=\lfloor \frac{t}{\tau}\rfloor, u=t\bmod\tau\tag{5} $$
- $R(n\tau)\approx1$の議論を行い、近似PUA(現行のPUA)を導出⇒ここから現在までの流れに合流する
- PMHFは平均PUD、すなわちPUA $Q(t)$を車両寿命で割ったものとして導出する
こうすることで今までの議論が全て成立することになります。
一例をあげると、 $$ \begin{eqnarray} \begin{cases} \lambda&=10FIT=1.0\times10^{-8}\\ n\tau&\approx T_\text{lifetime}=1.0\times10^{5} \end{cases} \end{eqnarray} $$ これらの数値を用いれば、 $$ R(n\tau)=0.999 $$ となり、ほぼ1であることからこの項は無視できることがわかります。逆に$\lambda$が513[FIT]未満であれば1とみなしても5%程度の誤差で収まります。
注意:
Kパラメータを条件付き確率と仮定することには特に問題は有りません。一方で本記事も、上記のこのマーカーの箇所が誤りのようです。上記は修理可能部分の不信頼度は累積されないとして計算しましたが、実際には不信頼度は累積され、区間の最後で修理されます。従って、不信頼度の累積は高い不稼働度に繋がり、本計算では実際より低く見積もることになります。
なお、本稿はRAMS 2025に投稿予定のため一部を秘匿しています。