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Kパラメータは条件付き確率か |
PMHF式において、あるいはその前提となる故障分類フローにおいて、Kパラメータが2種存在します。 具体的には$K_{\mathrm{FMC,RF}}$と$K_{\mathrm{FMC,MPF}}$の2種類です。それぞれ、1st order SMのVSG抑止率及び2nd order SMのフォールト検出率を意味します。規格では定数のように書かれているので、それぞれ $$ K_{\text{FMC,RF}},\\ K_{\text{FMC,MPF}} $$ と記述できます。
ここで1st order SMとは、主機能IFのフォールトによるSG侵害を抑止する働きを持つSMであり、2nd order SMとは、(主機能やSM等の)エレメントのフォールトがレイテントフォールトとなることを阻止する働きを持つSMです。
さらに、Kパラメータは、主機能とSMにそれぞれ存在するため、IF-SM-2nd SMモデル全体では $$ K_{\mathrm{IF,FMC,RF}},\\ K_{\mathrm{IF,FMC,MPF}},\\ K_{\mathrm{SM,FMC,MPF}} $$ の3種類が存在します。一般的にはSMのフォールトはVSGとならないため、$K_{\mathrm{SM,FMC,RF}}$は存在しません。
さて、当初、例えばこの記事でもこのKパラメータは定数であり、かつ条件付き確率であると解釈していました。例えば、 $$ K_{\mathrm{IF,FMC,RF}}:=\Pr\{\mathrm{IF\ prevented}\ |\ \mathrm{IF\ failed}\},\tag{98.1}\\ K_{\mathrm{IF,FMC,MPF}}:=\Pr\{\mathrm{IF\ detected}\ |\ \mathrm{IF\ prevented}\},\\ K_{\mathrm{SM,FMC,MPF}}:=\Pr\{\mathrm{SM\ detected}\ |\ \mathrm{SM\ prevented}\}\\ $$ と定義されます。
ただし上記は若干省略して書かれており、詳細に書けば、$\Pr\{\mathrm{IF\ prevented}\ |\ \mathrm{IF\ failed} \}$は$\Pr\{\mathrm{VSG\ of\ IF\ is\ prevented}\ |\ \mathrm{IF\ is\ failed} \}$であり、$\Pr\{\mathrm{IF\ detected}\ |\ \mathrm{IF\ prevented}\}$は、$\Pr\{\mathrm{The\ fault\ of\ IF\ is\ detected}\ |\ \mathrm{VSG\ of\ IF\ is\ prevented}\}$となります。
ここで、規格に書かれていない2nd SMの修理率は100%であり、
$$K_\text{SM,FMC,rep}=\Pr\{\text{SM repaired}\ | \text{SM detected}\cap\text{SM failed}\}=1.0$$