18 |
Fault treeの自動生成 |
はじめに
過去記事の再トライアルとなります。なぜ再トライアルかというと、4年が経ちSAPHIREの版数も上がったので、ファイルに互換性が無くなったようです。そのためFault Treeを外部から生成する方法を本記事で確立します。
過去記事で「MAR-D(各種データ)の一括インポートにより、完全なFTが構成できるようです。」と書きましたが、これは変わりません。また対象FTも同一のもの(図911.1)とします。
図911.1のFTをテキストファイルで入力するためには
- .BED --- Basic Eventの説明等の記述
- .BEI --- Basic Eventの情報、故障率やミッション時間等
- .FTD --- Fault Treeの説明等の記述
- .FTL --- 木の構造
- .GTD --- Top Event、中間ゲートの説明等の記述
- .MARD --- 上記5種のリストを記述
の6種のファイルが必要です。図911.2~911.6に示すファイルを用意し、そのリストを図911.7のMARDファイルとしてMARDをloadすると、図911.1のFTが生成されました。以下に一つずつ文法例を解説します。先頭に*がある行はコメント行を表します。
BED
図911.2のBEDは基事象の定義で、3種類の基事象の名前と説明を記述します。
*Saphire 8.2.9
TEST =
* Name , Descriptions , Project
BE01 , Failure of 01 , TEST
BE02 , Failure of 02 , TEST
BE03 , Failure of 03 , TEST
TOP , PVSG of top , TEST
BEI
図911.3のBEIは基事象の故障モデル、故障率、ミッション時間を記述します。赤字は故障率、青字はミッション時間です。
*Saphire 8.2.9
TEST =
* Name ,FdT,UdC ,UdT, UdValue, Prob, Lambda, Tau, Mission, Init,PF, UdValue2, Calc. Prob, Freq, Analysis Type , Phase Type , Project
BE01 , 3, , , 0.000E+000, 0.000E+000, 1.234E-009, 0.000E+000, 1.000E+005, , , 0.000E+000, 1.234E-004, , RANDOM , CD , TEST
BE02 , 3, , , 0.000E+000, 0.000E+000, 2.345E-009, 0.000E+000, 1.000E+005, , , 0.000E+000, 2.345E-004, , RANDOM , CD , TEST
BE03 , 3, , , 0.000E+000, 0.000E+000, 3.457E-009, 0.000E+000, 1.000E+005, , , 0.000E+000, 3.456E-004, , RANDOM , CD , TEST
TOP , 1, , , 0.000E+000, 1.000E+000, 0.000E+000, 0.000E+000, 0.000E+000, , , 0.000E+000, 1.000E+000, , RANDOM , CD , TEST
ここで、図911.3中のFdtは、表911.1(一部のみ)により規定される故障計算タイプです。
故障計算タイプ記号 | 故障計算タイプ説明 | 数値説明 |
---|---|---|
1 | 確率 | DC等の確率 |
3 | 指数分布($1-e^{^-\lambda t}$) | 故障率$\lambda$、ミッション時間$T_\text{lifetime}$ |
図911.4はFT全体の定義を示すFTDファイルで、FTの名前と説明を記述します。
TEST =
* Name , Description, SubTree, Alternate, Project
TOP , PVSG of top , , , TEST
FTL
図911.5にFTの木構造であるFTLを記述します。
TEST, TOP =
TOP OR TOP0 BE03
TOP0 AND BE01 BE02
^EOS
GTD
図911.6のGTDにゲートの名前と説明を記述します。
TEST=
* Name , Description, Project
TOP, PVSG of top, ,TEST
TOP0, DPF of 01 and 02, ,TEST
TOP01, DPF of 01 and 02, ,TEST
MARD
最後のMARDを図911.7に示します。前述のように、TESTフォルダのSubsフォルダに各種ファイルをまとめ、一括ロードするためのリストです。
TEST_Subs\TEST.BED
TEST_Subs\TEST.BEI
TEST_Subs\TEST.FTD
TEST_Subs\TEST.FTL
TEST_Subs\TEST.GTD
おわりに
ツールの入力としてはDescriptionに日本語が入るようになって便利にはなりました。一方でimportにおいては日本語が化けるため、自動生成の場合、Descriptionに日本語が使用できません。4年前に日本語入力を依頼した時点では、日本語の入力の改修に対してネガティブな返答でしたが、機会があれば要求したいと思います。
Leave a Comment