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あるWebの記事について |
ある記事に以下のような文章が載っていました。SPFM、LFMに関する説明文のようです。
冗長によるPMHFの低減を説明した後に、
ただこの二重化の場合、ある部品が壊れたかどうかを確認するための仕組みが別途必要になる。また、この仕組みが確実に「その部品が壊れたかどうか」を判断できなければならない。これに関する数値がSPFMであって、要するに99%以上の確率で、その部品が正常か壊れたかを判断できるようにする必要があるわけだ。
また、この「部品が壊れたかどうか」を判断する回路も、当然電子回路で構成される以上故障する可能性がある。そこで、この判断部そのものが故障していないかどうか、を90%以上の確率で判断できないといけない、というのがLFMというわけだ。
一見良さそうなこの説明文ですが、良く読むと誤りがあります。どこをどう直したら正しくなるか考えてみてください。
- ヒント1: 二重化(冗長)の場合は互いに主機能と安全機構(1st SM)の働きを行います。
- ヒント2: SPFMはこの場合、平均的な故障検出率ではありません。安全機構(1st SM)の持つ平均的な故障抑止率です。二重化は故障を検出しないにも関わらず、VSGを抑止するので、SPFMはほぼ100%となります。
- ヒント3: LFMの対象は「部品が壊れたかどうか」を判断する回路(=故障検出回路)だけではありません。この場合は故障抑止回路(=1st SM)とするべきです。LFMは2nd SMの持つ平均的な故障検出率です。
2とおりの修正方法があります。引用した文章は2つに分かれており、それぞれSPFMとLFMについての説明とするならば、
ただこの二重化の場合、ある部品が壊れたかどうかを確認するための仕組みが別途必要にならない。また、故障のSG侵害を抑止できなければならない。故障を抑止するカバレージに関する数値がSPFMであって、要するに99%以上の確率で、故障のSG侵害を抑止する必要がある。
また、この故障がSG侵害を抑止する回路も、当然電子回路で構成される以上故障する可能性がある。そこで、この故障がSG侵害を抑止する回路そのものが故障していないかどうか、を90%以上の確率で判断できないといけない、というのがLFMというわけだ。
となります。あるいは、それぞれLFMと2nd SMの故障検出についての説明とするならば、
ただこの二重化の場合、ある部品が壊れたかどうかを確認するための仕組みが別途必要になる。また、この仕組みが確実に「その部品が壊れたかどうか」を判断できなければならない。これに関する数値がLFMであって、要するに90%以上の確率で、その部品が正常か壊れたかを判断できるようにする必要があるわけだ。
また、この「部品が壊れたかどうか」を判断する回路(2nd SM)も、当然電子回路で構成される以上故障する可能性は無い
となります。当然筆者は前者を意図したのでしょうが、文章を大幅に修正しなければなりません。その理由は、元の文章が1st SMの機能である故障抑止と故障検出について混同しているためです。
端的に言えば、著者は「部品の故障を検出する回路(だけ)がSMである」と思い込んでいます。最初から「二重化」で始めなければ、おおむね合っていたのですが。