Posts Tagged with "RAMS"

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確率コントリビューション (3)

posted by sakurai on June 23, 2022 #488

IFとSM1のユニオン

ここまでは1st editionと同様、IFUモデル、つまりSM1がリペアラブル、IFがアンリペアラブルでした。ここからは2nd editionに対応するべく、IFRモデル、つまりSM1もIFもリペアラブルで考えます。

ここで、IFとSM1のユニオンのIF$\cup$SMを考えます。2つのユニオンと見ると、1回のダウンでは不稼働にならず、2回ダウンして初めて不稼働となります。図488.1で考えるとLAT状態ではIFもSM1もリペアラブルですが、リペアされないうちに再度フォールトが起きるとDPFに移行します。従って、最初のIF$\cup$SMのフォールトはリペアラブル、2番目のIF$\cup$SMのフォールトはアンリペアラブルです。

図%%.1
図488.1 IFとSM1のユニオンのマルコフ連鎖

これにより、SM1とIFの両方がリペアラブルであっても、$e1$⇒IF$\cup$SM、$e2$⇒IF$\cup$SMと置き換えることによりIFUモデルのCTMCを用いることができます。※確率調整:ただし、最後のIFの次にIFのフォールトと、SMの次にSMのフォールトでDPFになる場合は除く必要があります。

ユニオンの第1確率コントリビューション

まずユニオンエレメントの故障率を計算します。ユニオンエレメントの故障率は、 $$ \lambda_\mathrm{IF\cup SM}= \lambda_\mathrm{IF}+\lambda_\mathrm{SM} \tag{488.1} $$ となります。証明は過去記事#484で記載しています。

次に、ユニオンに対する見逃し率は、IFに対する2nd SMとSMに対する2nd SMの両方が見逃す率であるため、過去記事#485で証明したとおり(488.3)は $$ \Pr\{\overline{\mathrm{(IF\cup SM)\ detected}}\}=(1-K_\text{IF,DPF})(1-K_\text{SM,DPF}) \tag{488.2} $$ となります。これよりユニオンに対する検出率$K_\text{DPF}$は、 $$ K_\text{DPF}:=\Pr\{\mathrm{(IF\cup SM)\ detected}\}\\= 1-(1-K_\text{IF,DPF})(1-K_\text{SM,DPF})=K_\text{IF,DPF}+K_\text{SM,DPF}-K_\text{IF,DPF}K_\text{SM,DPF}\tag{488.3} $$ となります。これらにより、第1確率コントリビューションは(488.5)において$e1$⇒$\text{IF}\cup\text{SM}$と置き換えた後(488.1)、(488.3)を用いて $$ \text{Pc}^\text{1R}\{\mathrm{(IF\cup SM)\ up/down}\}\\ =\lambda_\mathrm{(IF\cup SM)}\left[\Pr\{\overline{\mathrm{(IF\cup SM)\ detected}}\}T_\text{lifetime}+\Pr\{\mathrm{(IF\cup SM)\ detected}\}\tau\right]\\ =(\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM})\left[(1-K_\mathrm{DPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{DPF}\tau\right] \tag{488.4} $$ となります。

ユニオンの第2確率コントリビューション

第2確率コントリビューションは(488.5)において$e2$⇒$\text{IF}\cup\text{SM}$と置き換えた後(488.1)を用いて、 $$ \require{cancel} \text{Pc}^\text{2U}\{\text{(IF}\cup\text{SM) down}\}=\Pr\{(\text{IF}\cup\text{SM})\text{ prevented}\}\lambda_{(\text{IF}\cup\text{SM})}T_\text{lifetime}\\ =K_{\text{(IF}\bcancel{\cup\text{SM)}}\text{,RF}} \lambda_{\text{(IF}\cup\text{SM)}} T_\text{lifetime}=K_\text{IF,RF}(\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM})T_\text{lifetime} \tag{488.5} $$ SM1にはSPFもRFも無いことを用いています。

PMHF計算

以上から、(488.2)は(488.4)及び(488.5)の積を用いて、 $$ \begin{eqnarray} M_{\text{PMHF,DPF,IF}\cup\text{SM}} &=&\frac{1}{2T_\text{lifetime}}\text{Pc}^\text{1R}\{\text{(IF}\cup\text{SM) up/down}\} \cdot\text{Pc}^\text{2U}\{\text{(IF}\cup\text{SM) down}\}\\ &=&\frac{1}{2\bcancel{T_\text{lifetime}}}(\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM})[(1-K_\mathrm{DPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{DPF}\tau]\\ & &\quad\cdot K_\text{IF,RF}(\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM})\bcancel{T_\text{lifetime}}\\ &=& \frac{K_\text{IF,RF}}{2}(\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM})^2[(1-K_\mathrm{DPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{DPF}\tau] \tag{488.6} \end{eqnarray} $$ となりそうですが、上記※確率調整を考慮する必要があります。

なお、本稿はRAMS 2023に投稿中のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2023年2月頃に開示予定です。RAMS 2023が終了したため、秘匿部分を開示します。


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確率コントリビューション (2)

posted by sakurai on June 22, 2022 #487

最初にSM1に、次にIFにフォールトが起きた場合

図487.2にIFUモデルのCTMCを示します。IFUモデルは最初のSM1のフォールトがリペアラブル、2番目のIFのフォールトがアンリペアラブルです。※便宜上「最初」と「2番目」と記述しましたが、厳密には「最後から2番目」と「最後」です。

図%%.1
図487.1 IFUモデルのマルコフ連鎖

CTMCによるPMHFの導出

(1st Editionの)規格第1式のPMHF式のDPF項の導出は以下の(487.1)のとおり、遷移確率と状態確率を掛けた確率微分方程式を車両寿命間で積分することにより導出します。 $$ \begin{eqnarray} M_\text{PMHF,DPF}&=&\overline{q_\mathrm{DPF,IFU}}\\ &=&\frac{1}{T_\text{lifetime}}\Pr\{DPF\mathrm{\ at\ }T_\text{lifetime}\}\\ &=&\frac{1}{T_\text{lifetime}}\int_0^{T_\text{lifetime}}\Pr\{LAT\mathrm{ at\ }t\cap\mathrm{IF^U\ down\ in\ }(t, t+dt]\cap\mathrm{IF\ preventable}\}\\ &=&\frac{1}{T_\text{lifetime}}\int_0^{T_\text{lifetime}}\Pr\{\mathrm{IF^U\ down\ in\ }(t, t+dt]\ |\ LAT\mathrm{\ at\ }t\}\\ & &\ \ \ \ \cdot\Pr\{LAT\mathrm{ at\ }t\}\Pr\{\mathrm{IF\ preventable}\}\\ &=&\frac{K_\text{IF,RF}}{T_\text{lifetime}}\int_0^{T_\text{lifetime}}Q_\mathrm{SM}(t)R_\mathrm{IF}(t)\lambda_\mathrm{IF}dt\\ &=&\frac{K_\text{IF,RF}}{T_\text{lifetime}}\int_0^{T_\text{lifetime}}\left[(1-K_\mathrm{SM,DPF})F_\mathrm{SM}(t)+K_\mathrm{SM,DPF}F_\mathrm{SM}(t\bmod\tau)\right]f_\mathrm{IF}(t)dt,\\ &\approx&\frac{1}{2}K_\mathrm{IF,RF}\lambda_\mathrm{IF}\lambda_\mathrm{SM}[(1-K_\mathrm{SM,DPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{SM,DPF}\tau] \end{eqnarray} \tag{487.1} $$ となります。これには弊社の積分公式を用いています。このPMHF式は1st editionのPMHF第1式と完全に一致します。

PMHFを第1、第2確率コントリビューションに分解

このPMHFをIFとSM1の第1及び第2確率コントリビューションに分解します。第1及び第2確率コントリビューション$\text{Pc}^\text{1R}$及び$\text{Pc}^\text{2U}$は確率ではありませんが、掛け合わせてPMHFに貢献する要素です。

SM1を$e1$: repairable 1st fault elementと置き、IFを$e2$: unrepairable 2nd fault elementと置けば(487.1)は、 $$ M_\text{PMHF,DPF}=\frac{1}{2T_\text{lifetime}}\text{Pc}^\text{1R}\{e1\text{ up/down}\}\text{Pc}^\text{2U}\{e2\text{ down}\}\\ =\frac{1}{2T_\text{lifetime}}\lambda_\mathrm{e1}[(1-K_\mathrm{e1,DPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{e1,DPF}\tau]\cdot K_\mathrm{e2,RF}\lambda_\mathrm{e2}T_\text{lifetime} \tag{487.2} $$ と書けます。確率コントリビューションは単独では意味を持たず、(487.2)のDPF積の場合にのみ使用します。

ここで、(487.2)において、$K_\mathrm{e1,DPF}$はe1のLF検出率であり、それぞれ、 $$ \begin{cases} 1-K_\mathrm{e1,DPF}=\Pr\{\overline{e1\text{ detected}}\}\\ K_\mathrm{e1,DPF}=\Pr\{e1\text{ detected}\} \end{cases} \tag{487.3} $$ と書けます。また(487.2)において、$K_\mathrm{e2,RF}$は、e2のVSG prevented確率であるため、 $$ K_\mathrm{e2,RF}=\Pr\{e2\text{ prevented}\}\tag{487.4} $$ と書けます。

よって$e1$と$e2$の確率コントリビューションは、第1と第2がそれぞれ、 $$ \begin{cases} \text{Pc}^\text{1R}\{e1\text{ up/down}\}:= \lambda_{e1}(\Pr\{\overline{e1\text{ detected}}\}T_\text{lifetime}+\Pr\{e1\text{ detected}\}\tau)\\ \text{Pc}^\text{2U}\{e2\text{ down}\}:= \Pr\{e2\text{ prevented}\}\lambda_{e2}T_\text{lifetime} \tag{487.5} \end{cases} $$ と定義されます。

なお、本稿はRAMS 2023に投稿中のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2023年2月頃に開示予定です。RAMS 2023が終了したため、秘匿部分を開示します。


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確率コントリビューション

posted by sakurai on June 21, 2022 #486

弊社の考えるPMHF式について、再度DPFについて考察します。

2nd Editionから引用したシステムアーキテクチャ図を図486.1に示します。IFがVSGとなるのを抑止する(抑止確率$K_\mathrm{IF,RF}$)のと同時に、IFがレイテントとなるのを抑止する(抑止確率$K_\mathrm{IF,DPF}$)SM1が存在します。また、SM1がレイテントとなるのを抑止する(抑止確率$K_\mathrm{SM,DPF}$)SM2が存在します。

図%%.1
図486.1 System Architectural Design of the example

このモデルには一点問題があります。それは、冗長の場合、すなわち、IFとSM1が同機能である場合はSM2の存在が曖昧になることです。SM1の機能はIFのVSG抑止(1st SMの機能)及びLF抑止(2nd SMの機能)となっているのに対して、SM2はSM1に対するLF抑止(2nd SMの機能)です。

問題になるのはLATの場合です。これはSM1にフォールトが起きた場合に到達する状態ですが、この際に問題はIFに対する1st SMの機能喪失は当然として、2nd SM機能まで喪失するか否かです。

  • 喪失する場合 --- おそらく2nd editionの想定はこのようですが、この場合はLATに来た時刻により、LATの状態確率が変わってくるため、マルコフ性が成立しません。マルコフ性が成立しない場合の確率積分は非常に難しくなり解けないと言われています。
  • 喪失しない場合 --- LATの状態確率は来た時刻に依存しないため、マルコフ性が成立します。

そもそも1st SMと2nd SMが別エレメントと考えると2nd SMは故障しないという定理から、2番目が良いと考えられます。

なお、本稿はRAMS 2023に投稿中のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2023年2月頃に開示予定です。RAMS 2023が終了したため、秘匿部分を開示します。


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合成カバレージの証明

posted by sakurai on June 20, 2022 #485

IFとSMのそれぞれがお互いのレイテントフォールトカバレージを持つとして、$K_\text{IF,DPF}$及び$K_\text{SM,DPF}$で表します。前記事で記載したように、 $$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} K_\text{IF,DPF}=\Pr\{\text{IF detectable}\}\\ K_\text{SM,DPF}=\Pr\{\text{SM detectable}\} \end{array} \right. \end{eqnarray} \tag{485.1} $$

ここで、IFとSMの合体エレメント$\text{IF}\cup\text{SM}$を考えると、合体エレメントのレイテントカバレージ$K_\text{DPF}$は、IFに対してはSM、SMに対してはIFのカバレージです。従って、合体エレメントが単一フォールトしても、IFのフォールトの場合はSMのカバレージ、SMのフォールトの場合はIFのカバレージとなり、合体カバレージは一切棄損しません。よって、 $$ \Pr\{(\text{IF}\cup\text{SM) detectable}\}=\Pr\{\text{IF detectable}\cup\text{SM detectable}\}\\ =\Pr\{\text{IF detectable}\}+\Pr\{\text{SM detectable}\} -\Pr\{\text{IF detectable}\}\Pr\{\text{SM detectable}\}\\ =K_\text{IF,DPF}+K_\text{SM,DPF}-K_\text{IF,DPF}K_\text{SM,DPF}\equiv K_\text{DPF} \tag{485.2} $$ 反対に、 $$ \Pr\{\overline{(\text{IF}\cup\text{SM) detectable}}\}=\Pr\{\overline{\text{IF detectable}}\cap\overline{\text{SM detectable}}\}\\ =(1-\Pr\{\text{IF detectable}\})(1-\Pr\{\text{SM detectable}\})=(1-K_\text{IF,DPF})(1-K_\text{SM,DPF})\\ =1-K_\text{DPF} \tag{485.3} $$

なお、本稿はRAMS 2023に投稿中のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2023年2月頃に開示予定です。RAMS 2023が終了したため、秘匿部分を開示します。


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posted by sakurai on June 17, 2022 #484

IFとSMのユニオンエレメント$\text{IF}\cup\text{SM}$を考えます。ユニオンエレメントの故障率は、(484.1)のようにそれぞれの故障率の和になります。 $$ \lambda_{\text{IF}\cup\text{SM}}= \lambda_{\text{IF}}+\lambda_{\text{SM}} \tag{484.1} $$ 以降では(484.1)を証明します。まず故障率の定義式から、 $$ \lambda_{\text{IF}\cup\text{SM}}=\Pr\{\text{(IF}\cup\text{SM) down in }(t, t+dt]\ |\ \text{(IF}\cup\text{SM) up at }t\} \tag{484.2} $$ となります。ここで、故障率とは「ユニオンエレメントが$t$の直前までupで次の瞬間の$dt$間にdownすること」なので、ユニオンをIFとSMに分解して考えれば、直前のup条件はIFとSMの$\cap$であり、次の瞬間のdown条件はIFとSMの$\cup$となります。

これを用いれば(484.2)は、 $$ (484.2)=\Pr\{\text{IF down in }(t, t+dt]\cup\text{SM down in }(t, t+dt]\ |\\ \text{IF up at }t\cap\text{SM up at }t\} \tag{484.3} $$ となります。ここで条件付き確率の公式 $$ \Pr\{\text{A}\ |\ \text{B}\}=\frac{\Pr\{\text{A}\cap\text{B}\}}{\Pr\{\text{B}\}} \tag{484.4} $$ を用いれば、

$$ (\text{A}\cap\text{B of }484.3)=\Pr\{(\text{IF down in }(t, t+dt]\cap\text{IF up at }t\cap\text{SM up at }t)\\ \cup(\text{SM down in }(t, t+dt]\cap\text{IF up at }t\cap\text{SM up at }t)\} \tag{484.5} $$

さらに、和積の公式 $$ \Pr\{\text{C}\cup\text{D}\}=\Pr\{\text{C}\}+\Pr\{\text{D}\}-\Pr\{\text{C}\cap\text{D}\}\\ \approx\Pr\{\text{C}\}+\Pr\{\text{D}\}\quad s.t.\quad\Pr\{\text{C}\cap\text{D}\}\approx 0 \tag{484.6} $$ を用いれば、IFとSMのフォールトは独立事象であることも用いて、

$$ (484.5)=\Pr\{\text{IF down in }(t, t+dt]\cap\text{IF up at }t\}\Pr\{\text{SM up at }t\}\\ +\Pr\{\text{SM down in }(t, t+dt]\cap\text{SM up at }t\}\Pr\{\text{IF up at }t\} \tag{484.7} $$

さらに、 $$ (\text{B of }484.3)=\Pr\{\text{IF up at }t\}\Pr\{\text{SM up at }t\} \tag{484.8} $$ であるから、

$$ \require{cancel} (484.3)=\frac{(484.7)}{(484.8)}=\frac{\Pr\{\text{IF down in }(t, t+dt]\cap\text{IF up at }t\}\bcancel{\Pr\{\text{SM up at }t\}}}{\Pr\{\text{IF up at }t\}\bcancel{\Pr\{\text{SM up at }t\}}}\\ +\frac{\Pr\{\text{SM down in }(t, t+dt]\cap\text{SM up at }t\}\bcancel{\Pr\{\text{IF up at }t\}}}{\Pr\{\text{SM up at }t\}\bcancel{\Pr\{\text{IF up at }t\}}}\\ =\Pr\{\text{IF down in }(t, t+dt]\ |\ \text{IF up at }t\}+\Pr\{\text{SM down in }(t, t+dt]\ |\ \text{SM up at }t\}\\ =\lambda_\text{IF}+\lambda_\text{SM}\hspace{100pt}■ \tag{484.9} $$

なお、本稿はRAMS 2023に投稿中のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2023年2月頃に開示予定です。RAMS 2023が終了したため、秘匿部分を開示します。


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posted by sakurai on June 13, 2022 #483

前稿でご紹介した、2023年1月26日からフロリダ州オーランドのホテル・カンファレンスセンターで開催される予定のRAMS 2023(69th Annual Reliability and Maintainability Symposium)に、弊社代表が投稿した論文のアブストラクトが採択されたとの連絡が届きました。まだアブストラクトの採択ですが、正式採択されれば4年連続採択となります。正式採択に向け、8月の締め切りまでに論文をブラッシュアップしていくことになります。

表483.1はRAMS 2023正式採択までのマイルストーンであり、今後適宜更新します。

表483.1 RAMS 2023へのマイルストーン
年月日 マイルストーン 状態
2022/8/1 論文、プレゼン投稿締め切り(名前、所属無し版)
2022/?/? 学会出席登録締め切り
2022/9/1 第1回論文、プレゼン資料査読コメント受領
2022/?/? 改訂版論文、プレゼン投稿締め切り(名前、所属無し版)
2022/?/? 最終査読コメント受領
2022/10/10 最終論文、プレゼン投稿締め切り(名前、所属有り版)


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RAMS 2023

posted by sakurai on June 10, 2022 #482

来年のRAMS 2023の日程が、2023/1/23~26と発表されました。場所はフロリダ州オーランドのフロリダホテル・カンファレンスセンターです。弊社は今年もアブストラクトを提出済みです。アブストラクトの採択の発表は例年どおり、6月初旬とのことです。

図%%.1
図482.1 RAMS 2023

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Detectabilityの違い (2)

posted by sakurai on January 31, 2022 #449

ここまでRAMS 2020論文と2022論文をレビューしてきて、ポイントは1st SMと2nd SMのdetectabilityの違いで結果が変わることがわかります。それを以降でまとめます。

RAMS 2020論文

以下の表はRAMS 2020論文において、IFのfaultがSMにより検出されるかどうかを示しています。なお、1st SMのfaultは常にdetectableです。その時のDCは$K_\text{SM,MPF}$。

表449.1 RAMS 2020のDetectabilityの表
IF non-detectable (IFU) Partialy detectable (IFR)
1st SM IF non-detectable ($K_\text{IF,det}=0$)
2nd SM IF non-detectable ($K_\text{IF,MPF}=0$) IF detectable ($K_\text{IF,MPF}>0$)
PMHF equ. RAMS 2020 $(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+2K_\text{IF,RF}\alpha$
(19), (221.9), (447.2)
$(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+2K_\text{IF,RF}\beta$
(22), (222.9), (447.1)

$K_\text{IF,det}=0$(かつ$K_\text{IF,RF}=1$)のみなので、冗長時のみを考えておりあまり良くありません。$K_\text{IF,det}=1$も考える必要があります。

RAMS 2022論文

さらにRAMS 2022では$K_\text{IF,det}=1$を検討しました。特にMPF detectedを従来のLFと同一視するのではなく、SFとしました。そのためPMHF結果式も変わってきます。

ここで、1st SMがIF detectableであれば、そのDC(カバレージ)は$K_\text{IF,RF}$であり、一般に2nd SMまでは設置しないと思われます。逆に言えば2nd SMが必要なのは、1st SMのDCがゼロの時、つまりIF non-detectable ($K_\text{IF,det}=0)$であり、すなわち1st SMが主機能代替機能を持ついわゆる冗長の場合となります。

表449.2 Detectabilityの表($K_\text{IF,det}=1$を追加)
IF non-detectable (IFU) Partialy detectable (IFR) Fully detectable
1st SM IF non-detectable ($K_\text{IF,det}=0$) IF detectable ($K_\text{IF,det}=1$)
2nd SM IF non-detectable ($K_\text{IF,MPF}=0$) IF detectable ($K_\text{IF,MPF}>0$) -

次に1st SMがIF non-detectable ($K_\text{IF,MPF}=0$)であれば、2nd SMはIFフォールトのレイテント防止のため、なにがしかのDC(検出率、カバレージ)を持つと考えられます。上記表はそのDCがゼロの場合はIFUモデル、ゼロでない場合はIFRモデルとしましたが、そのDCを$K_\text{IF,MPF}$で表し、ゼロの場合と非ゼロの場合をまとめ、かつRAMS 2020及び2022のPMHF式を追加すれば、以下の表となります。

表449.3 DetectabilityとPMHF式の表
Partialy detectable (IFU/IFR) Fully detectable
1st SM IF non-detectable ($K_\text{IF,det}=0$) IF detectable ($K_\text{IF,det}=1$)
2nd SM Partialy detectable ($K_\text{IF,MPF}>=0$) -
PMHF equ. RAMS 2020 $(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+2K_\text{IF,RF}\beta$ $(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+\color{red}{2}K_\text{IF,RF}\alpha$
PMHF equ. RAMS 2022 $(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+K_\text{IF,RF}\alpha$

  • RAMS 2020では$K_\text{IF,det}=0$のみを検討したため、$K_\text{IF,det}=1$は薄墨色としています。
  • 1st SMがfully detectable ($K_\text{IF,det}=1$)において、RAMS 2022のPMHF値のDPF部分が$\frac{1}{2}$になっているのは、RAMS 2022においてMPF detectedの定義を変え、レイテントではなく完全にリペアラブルとしたためです。SMがレイテントになる部分はそのままですが、IFがレイテントになる部分が全て修理されるとしたため、半分になっています。

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Detectabilityの違い

posted by sakurai on January 26, 2022 #448

$K_\text{IF,det}$の意味

ここで、$K_\text{IF,det}$の意味を考えてみます。

  • $K_\text{IF,det}=0$の時
    1st SMがIFのフォールトをVSGから$K_\text{IF,RF}$分だけpreventしているにも関わらず、1st SMの機能はIFのフォールトを検出しない場合。すなわち、1st SMはIF代替機能を持つはずであり、これは冗長構成と呼ばれる。冗長の場合は$K_\text{IF,RF}=1$となる。従って、$K_\text{IF,det}=0$かつ$K_\text{IF,RF}=1$。
    規格1st editionではこの場合は考慮されていなかったが、2nd editionで考慮されることになった。

  • $K_\text{IF,det}=1$の時
    1st SMがIFのフォールトをVSGから$K_\text{IF,RF}$分だけpreventしており、1st SMの機能はIFのフォールトを検出する場合。その検出率は$K_\text{IF,RF}$であり、すなわち、1st SMはIF代替機能を持たない。
    1st SMがフォールト検出機能を持つため、IFの2nd SMは不要($K_\text{IF,MPF}=0$)。一方、1st SMに対しては2nd SMが必要。これは規格の構造図、すなわち「1st SMがSM1であり2nd SMがSM2である図」に一致する。


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posted by sakurai on January 12, 2022 #447

RAMS 2020

次にRAMS 2020でのPMHF式を示します。これは規格1st editionのIFUモデルをIFRモデルに拡張したものでした。ただし、表368.1で示せば、SM1 undetectableのみを扱います。従って、RAMS 2022で言う$K_\text{IF,det}=0$の時の式となります。

$$ \begin{eqnarray} \require{cancel} M_\text{PMHF,RAMS2020}&=&M_\text{PMHF,IFR}\\ &=&M_\text{PMHF,RAMS 2022}\lvert_{K_\text{IF,det}=0}\\ &=&(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+2K_\mathrm{IF,RF}\beta \end{eqnarray}\tag{447.1} $$ ただし、 $$ \begin{cases} \begin{eqnarray} \alpha&:=&\frac{1}{2}\lambda_{\mathrm{IF}}\lambda_{\mathrm{SM}}[(1-K_{\mathrm{SM,MPF}})T_\text{lifetime}+K_{\mathrm{SM,MPF}}\tau],\\ \beta&:=&\frac{1}{2}\lambda_{\mathrm{IF}}\lambda_{\mathrm{SM}}[(1-K_{\mathrm{MPF}})T_\text{lifetime}+K_{\mathrm{MPF}}\tau],\\ K_{\mathrm{MPF}}&:=&K_{\mathrm{IF,MPF}}+K_{\mathrm{SM,MPF}}-K_{\mathrm{IF,MPF}}K_{\mathrm{SM,MPF}} \end{eqnarray} \end{cases} $$ これは以前の式(222.9)と一致します。

一方、規格1st editionの式はIFUモデルであり、(447.1)において、$K_{\mathrm{IF,MPF}}=0$とおけば、$K_{\mathrm{MPF}}=K_\mathrm{SM,MPF}$であるから、$\beta=\alpha$となり、

$$ \begin{eqnarray} \require{cancel} M_\text{PMHF,1st edition}&=&M_\text{PMHF,IFU}\\ &=&M_\text{PMHF,RAMS 2022}\lvert_{K_\text{IF,det}=0,K_\text{IF,MPF}=0}\\ &=&(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+2K_\mathrm{IF,RF}\alpha\\ \end{eqnarray}\tag{447.2} $$ となります。これは2020論文(19)ですが、規格1st editionの第3の式に相当し、(221.9)と同一です。

RAMS 2020では$K_\text{IF,det}=0$の時しか検討しませんでしたが、RAMS 2022のベースである表375.1及びそれに基づくPMHF計算を用いて、$K_\text{IF,det}=1$の時も併せた式を示せば、 $$ \bbox[#ccffff,2pt]{M_\text{PMHF,RAMS2020}=(1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+ \color{red}{2}K_\text{IF,RF}K_\text{IF,det}\alpha+2K_\text{IF,RF}(1-K_\text{IF,det})\beta}\\ \tag{447.3} $$ となります。RAMS 2022との相違は(447.3)の係数2の違いとなります。


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