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2nd EditionにおけるPMHF式 (2) |
デュアルポイントフェイリャ
次にDPFについて、弊社が考える式とどこが相違しているかを見ていきます。
まず、SMがVSGとならない場合のパターン1式は特定条件(※1)でのみ合っています。この条件は1st Edition規格第1式とも同じです。次にパターン2は特定条件(※1)において前述のように2倍だけ異なっています。この2倍の理由は不明です。追記:4年後に判明したのでこの記事に記載しました。
※1 $K_{IF,lat}=0\cap K_{SM1,det}=1$の場合。これを言い換えると、IFはVSGの可能性があるが修理不可能、かつ、SM1はVSGの可能性無しで修理可能。
さらにパターン3、4式は特定条件(※2)でのみ合っています。単にパターン1, 2をひっくり返した(IFとSM1を入れ替えた)式のように見えます。
※2 $K_{SM1,lat}=0\cap K_{IF,det}=1$の場合。これを言い換えると、SM1はVSGの可能性があるが修理不可能、かつ、IFはVSGの可能性無しで修理可能。
これは以下の条件からくるものと推測します。以下は2nd Edition Part10 8.3.2.3 Table 2の引用です。
First fault:SM1⇒Second fault:IF | First fault:IF⇒Second fault:SM1 | |
---|---|---|
Cannot notify the driver | Pattern 1 | Pattern 3 |
Can notify the driver | Pattern 2 | Pattern 4 |
つまり、Pattern1及び2はIFフォールトによるVSGであり、SM1は修理系、IFは非修理系を仮定しています。 一方、Pattern3及び4はSM1フォールトによるVSGであり、Pattern1及び2のIF/SM1を入れ替えたものとなっているところから推測すればIFは修理系、SM1は非修理系を仮定しています。
いずれも最初のフォールトが起きるエレメントは、upしたりdownしたりを繰り返しても良いのですが(=修理可能という意味)、2番目にフォールトが起きるエレメントは、(最初のフォールトがリペアされた場合)downしたりupしたりするはずが、2番目にdownすることしか許されていません。これは非修理系を意味します。つまり後からフォールトするエレメントの制約が強すぎます。このことは言葉の定義だけで理解されるものではなく、その仮定から導出された1st Editionの式の意味まで考えて初めて理解されることです。
いずれにしろ、この前提はIFもSM1も$t=0$において修理系という一般的なサブシステムに対して、修理不可能という制約をかけすぎているため、PMHFの過大評価につながります。
弊社が考えるPMHFの一般式
IFとSM1が$t=0$において修理系という条件で、マルコフ状態遷移図を書き、確率微分方程式を立て、積分して平均PUDを算出した式において、Edition 1の方法で上界を求めた式は、 $$ M_{PMHF}=\lambda_{IF,RF}+\img[-1.35em]{/images/withinseminar.png}\tag{69.1} $$ となります。
規格の式(図68.1)は、実際よりも過剰な※1または※2のみで成立する式です。
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