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PMHF論文sae2020 (8) |
PMHFと基本的な信頼性計算(続き)
論文sae2020$\dagger$のPMHFと基本的な信頼性計算(続き)です。
ISO 26262-2018 designates the average probability of failure per hour over the operational lifetime as the probability that the item will fail before its lifetime $T_\text{Lifetime}$ as $Prob(t ≤ T_\text{Lifetime})/T_\text{Lifetime}$. In order to simplify the notations and improve the understanding, in this paper we will designate the average probability of failure per hour (assuming these faults are independent) as $P_{avg/t}$ and express it as a product of probabilities of failures required for a system to fail over the time of operation:
ISO 26262-2018 では、運用寿命における 1 時間当たりの平均故障確率を、その品目がその寿命$T_\text{Lifetime}$までに故障する確率を$Prob(t ≤ T_\text{Lifetime})/T_\text{Lifetime}$として指定している。表記を簡略化して理解を深めるために、本稿では、1時間あたりの平均故障確率を(以下のように仮定して)指定することにする。 これらの故障は独立している)を$P_{avg/t}$とし、システムが運転中に故障するのに必要な故障確率の積として表現します。
ISO 26262-2018がPMHFを $$\frac{\Pr(t ≤ T_\text{Lifetime})}{T_\text{Lifetime}}$$ のように規定していると書かれているが、これは正しくありません。
たしかに、ISO 26262:2018ではPart10 8.4において、PMHFを次のように書いています。
The following shows the derivation of the average probability of failure per hour over the operational lifetime of the item regarding single point faults.
(略)
Then, average probability of failure per hour (according to ISO 26262-5), over operational life time (Tlifetime) is:
$$\frac{\Pr(t ≤ T_\text{Lifetime})}{T_\text{Lifetime}}$$
つまり、SPFについての式であると限定しています。SPFにおいてはフォールトの発生により直ちにVSGとなるため、修理の時間が全く取れないので、分子はReliabilityで良いのですが、本来は、Reliabilityに加えて修理を考慮したAvailabilityでなければなりません。
確率式で書き直すと、SPFに限れば、PMHFは $$M_\text{PMHF,SPF}=\frac{\Pr(\text{item fail till }T_\text{Lifetime})}{T_\text{Lifetime}}$$ で良いですが、一般には $$M_\text{PMHF}=\frac{\Pr(\text{item down at }T_\text{Lifetime})}{T_\text{Lifetime}}$$ とするべきです。本論文に限らず、多数の論文がPMHF結果式を無視していますが、PMHF結果式を適用すべきです。
この論文の次の段落からは、ISO 26262の精神のひとつである指数分布をワイブル分布に一般化しており、ISO 26262を逸脱するため、検討はここまでとします。
結論として、PMHF式についての信頼性工学的な議論を期待していたのですが、SPFのみに通用する話を一般化した上、ISO 26262非互換な議論に脱線しており、期待はずれに終わりました。
$\dagger$: Kleyner, A. and Knoell, R., “Calculating Probability Metric for Random Hardware Failures (PMHF) in the New Version of ISO 26262 Functional Safety - Methodology and Case Studies,” SAE Technical Paper 2018-01-0793, 2018
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