10 |
確率論 (12) |
確率変数の生成するフィルトレーション
時刻$t$までの確率過程$X$の挙動$\{X_s(\omega)\mid 0\leq s\leq t\}$を全て可測とする$\sigma$加法族を$\sigma(X_s\mid s\leq t)$と表し、これを右連続化したものを$\mathcal{F}^X_t$と表すとき、それらの集合$\{\mathcal{F}^X_t\}$を、確率過程$X=\{X_t\}$により生成されるフィルトレーションという。
ただし、$\mathcal{F}^X_t$が右連続($\text{c}\grave{\text{a}}\text{dl}\grave{\text{a}}\text{g}$)であるということは、任意の$t\in T$に対して、
左極限$\mathcal{F}^X_{t-}:=\lim_{s\uparrow t}\mathcal{F}^X_s$が存在し、かつ 右極限$\mathcal{F}^X_{t+}:=\lim_{s\downarrow t}\mathcal{F}^X_s$が存在しかつ$\mathcal{F}^X_t$に等しい
ことをいいます。
独立増分確率過程
確率過程$X_t$について、区間での増分が独立となる場合には、独立増分過程という
次の定理が成り立ちます。
独立増分過程$X_t$が可積分のとき、その平均が一定であれば、$\{\mathcal{F}^X_t\}$を$X_t$が生成するフィルトレーションとして、次式が成立する。 $$ E(X_t-X_s\mid \mathcal{F}^X_s)=0 (t\gt s) $$
$$ E(X_t-X_s\mid \mathcal{F}^X_s)=E(X_t-X_s)=E(X_t)-E(X_s)=0 $$ より、題意が成り立ちます。