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規格第2版のPMHF式の疑問(8)

posted by sakurai on April 12, 2022 #472

パターン2

続いてパターン2です。前稿の続きです。

  • Pattern 2: SM1⇒IFの順にフォールトが発生し、SM1のフォールトは、SM2によって緩和され通知される。フォールトの暴露時間は、運転手が修理のために車両を持ち込むのに必要な予想される時間。

これはSM1のフォールトが2nd SMの定期周期$T_\text{service}$により検査され、検出割合は$K_\text{SM,DPF}$でありその全量が修理されるパターンです。時刻パラメータ$t$が最初のSMのフォールトが起きた時刻、$t'$がVSGとなる2つ目のIFのフォールトが起きた時刻とします。

図%%.1
図472.1 2nd editionパターン2マルコフ図

まずIFについては前稿と同様です。IFの$LAT2$での状態確率は、 $$ \Pr\{\text{IF in }LAT2\}=\Pr\{\text{IF up at }t\cap\text{VSG of IF prevented}\}=K_\text{IF,DPF}R_\text{IF}(t) \tag{472.1} $$ $LAT2$から$DPF1$への微小時間での遷移確率は、IFがDPFする場合であり、 $$ d\!\Pr\{\text{IF down in }(t, t+dt] | \text{IF up at }t\cap\text{VSG of IF prevented}\}=\lambda_\text{IF}dt \tag{472.2} $$

規格のとおりIFの確率を求めるとIFは時刻$0$から$t$まではフォールトせず、かつ、IFに関する$t'$の時のDPF確率密度を$t$から$t+T_\text{service}$まで積分し、$t$で表します。$t$から$t+T_\text{service}$までの理由は、必ず$T_\text{service}$間に検査・修理が入るので、露出時間の最大は上記のとおり、$T_\text{service}$となるためです。

実はここに誤りがあり、期間を$t$から$t+T_\text{service}$とすると、SM1⇒IFの順のフォールトだけでなく、その逆順のフォールトも含まれます。

その理由は、パターン2は検出可能部分のSM1のフォールトなので、期間間隔$T_\text{service}$内にDPF、すなわち1つめのSM1のフォールトと2つめのIFのフォールトが両方共起きる必要があります。図472.1の$OPR$から$LAT2$、さらに$LAT2$から$DPF$までを1回の間隔$T_\text{service}$内で遷移する必要があります。

また、その順序もSM1⇒IFと決まっています。SM1のフォールトが起きた時のIFのフォールト生起確率という条件付き確率であれば良いのですが、そうではなくIFとSM1のフォールト確率は独立とするならば、期間間隔$T_\text{service}$を考えるとSM1⇒IFだけでなくIF⇒SM1も含まれてしまいます。従って、半分の期間間隔$\frac{1}{2}T_\text{service}$を考えるか、または期間間隔$T_\text{service}$での確率を求めて0.5をかけるのが正解です。従って後者をとれば、 $$ \Pr\{\text{IF fails last in }[t, t+T_\text{service}])=\frac{1}{2}\Pr\{\text{IF down in }[t, t+T_\text{service}]) $$

従って、(472.1)、(472.2)から、 $$ \require{cancel} \Pr\{(\text{IF not fail in }[0, t)\cap\text{VSG of IF prevented})\cap (\text{IF fails last in }[t, t+T_\text{service}])\}\\ =\Pr\{(\text{IF up at }t\cap\text{VSG of IF prevented})\cap (\text{IF fails last in }[t, t+T_\text{service}])\}\\ =K_\text{IF,DPF}\Pr\{\text{IF fails last in }[t, t+T_\text{service}]\}\\ =\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\int_t^{t+T_\text{service}}d\!\Pr\{\text{IF up at }t'\cap\text{IF down in }[t', t'+dt')\}\\ =\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\int_t^{t+T_\text{service}}\Pr\{\text{IF up at }t'\}d\!\Pr\{\text{IF down in }[t', t'+dt')\ |\ \text{IF up at }t'\}\\ =\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\int_t^{t+T_\text{service}}R_\text{IF}(t')\lambda_\text{IF}dt'=K_\text{IF,DPF}\int_t^{t+T_\text{service}}f_\text{IF}(t')dt'\\ =\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\left[F_\text{IF}(t')\right]^{t+T_\text{service}}_t=\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\left[F_\text{IF}(t+T_\text{service})-F_\text{IF}(t)\right]\\ \approx\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\left[\lambda_\text{IF}(\bcancel{t}+T_\text{service}\bcancel{-t})\right]=\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\lambda_\text{IF}T_\text{service} \tag{472.3} $$

次に、SMの$OPR$での状態確率は、$u\equiv t\bmod T_\text{service}$とすれば、 $$ \Pr\{\text{SM in }OPR\}=\Pr\{\text{SM is up at }u\}=R_\text{SM}(u) \tag{472.4} $$

$OPR$から$LAT2$への微小時間での遷移確率は、SMがフォールトする場合であり、 $$ d\!\Pr\{\text{SM down in }(u, u+du] | \text{SM is up at }u\}=K_\text{SM,DPF}\lambda_\text{SM}du \tag{472.5} $$

次にIFとSMのフォールトは独立事象であるため、IFの確率とSMの確率の積をDPF確率として、$0$から$T_\text{lifetime}$まで積分するがSMの確率は周期$T_\text{service}$でゼロとなるため、$T_\text{lifetime}$中には$n\equiv\frac{T_\text{lifetime}}{T_\text{service}}$回存在します。従って(472.3)~(472.5)を用いて、 $$ \require{cancel} M_\text{PMHF,P2}=\frac{1}{\bcancel{T_\text{lifetime}}}\frac{\bcancel{T_\text{lifetime}}}{\bcancel{T_\text{service}}}\int_0^{T_\text{service}}K_\text{SM,DPF}R_\text{SM}(u)\lambda_\text{SM}\frac{1}{2}K_\text{IF,DPF}\lambda_\text{IF}\bcancel{T_\text{service}}du\\ =\frac{1}{2}K_\text{SM,DPF}K_\text{IF,DPF}\lambda_\text{IF}\int_0^{T_\text{service}}f_\text{SM}(u)du\\ \approx \img[-1.35em]{/images/withinseminar.png} \tag{472.6} $$

これは図104.2の初版PMHF式(パターン1, 2のみ)の、DPFにおけるパターン2に相当する部分と(IF⇒m, $\tau_\text{SM}$⇒$T_\text{service}$と読み替えることにより)正確に一致します。

図%%.1
図472.2 1st edition規格第1式

なお、本稿はRAMS 2024に投稿予定のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2024年2月頃に開示予定です。


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