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規格第2版のPMHF式の疑問 (12) - パターン1 |
パターン1
再度、ISO 26262第2版解説書に示された導出過程に沿ってPMHF式を導出します。この導出過程によればパターン2に重大な誤りがあります。その原因はIFのフォールトの積分範囲なのですが、次稿で説明します。
図309.1の再掲になりますが図476.1に解説書のパターン1の導出過程を引用します。

時刻tがSM1のフォールト発生時刻、時刻t′が引き続くIFのフォールト発生時刻です。tとt′の制約を示します。 {t:Time of fault of SM1,0≤t≤Tlifetimet′:Time of fault of IF,t≤t′≤Tlifetime
図476.1ではパターン1のIFのフォールトの積分範囲、つまりt′の範囲はt≤t′≤Tlifetimeとなっています。従って、tが大となるに従ってt′の範囲が狭くなり、IFのフォールト発生確率も小さくなります。つまり、tとPr{IF fails at t′}は逆相関の関係があります。

基本的には解説書に従った導出過程で計算しますが、誤りを修正します。まずIFのフォールトに関する積分である、「時刻tまでup、かつ、t′でフォールトする確率」という以下の式(476.2)(図476.1から抜粋引用)は ∫TlifetimetfIF,DPF(t′)dt′⋅RIF(t)(誤りであるため注意) (476.3)に示す2か所が誤りとその修正です。ただしこの誤りはたまたま結果に影響しません。 {RIF(t)⇒RIF(t′)(up条件)fIF,DPF(t′)⇒λIF,DPF(down条件)
(476.3)はIFに関するup条件及びdown条件ですが、この両者は同じIFに関する事象であるため独立ではありません。down条件に関しては(66.8)で示す条件付き確率を用いる必要があります。従って(476.2)を(476.4)のように、「時刻t′までup、かつ、t′でフォールトする条件付き確率」と修正します。するとIFのフォールトに関する確率(476.2)は、 Pr{IF is in LAT2S∩IF fails in [t,Tlifetime)}=Pr{IF up at t∩IF prevented∩IF fails in [t,Tlifetime)}=Pr{IF prevented}∫TlifetimetPr{IF down in [t′,t′+dt′)∩IF up at t′}=KIF, DPF∫TlifetimetPr{IF down in [t′,t′+dt′) | IF up at t′}⋅Pr{IF up at t′}=KIF, DPF∫TlifetimetλIFRIF(t′)dt′=KIF, DPF∫TlifetimetfIF(t′)dt′=KIF, DPF[FIF(t′)]Tlifetimet=KIF, DPF[FIF(Tlifetime)−FIF(t)]≈KIF, DPFλIF(Tlifetime−t) と表せます。ここで途中の式
KIF, DPF∫TlifetimetλIFRIF(t′)dt′=∫TlifetimetλIF,DPFRIF(t′)dt′ と(476.2)を比較すると、(476.3)で示した解説書の2点の誤りが確認できます。
(476.4)によりtにおけるIFの車両寿命までのフォールト確率を表せました。t≤t′の条件下ではSMとIFのフォールトの確率は独立として掛け合わせることができるので、パターン1のPMHFは、 MPMHF,P1=1Tlifetime∫Tlifetime0Pr{SM1 down in [t,t+dt)∩SM1 undetected∩ SM1 up at t}⋅{KIF,DPFλIF(Tservice−t)}=1TlifetimePr{SM1 undetected}∫Tservice0Pr{SM1 down in [t,t+dt) | SM1 up at t}⋅Pr{SM1 up at t}⋅{KIF,DPFλIF(Tservice−t)}=1Tlifetime(1−KSM1,DPF)∫Tlifetime0λSM1RSM1(t){KIF,DPFλIF(Tlifetime−t)}dt=1Tlifetime(1−KSM1,DPF)KIF,DPF∫Tlifetime0fSM1(t)λIF(Tlifetime−t)dt≈1Tlifetime(1−KSM1,DPF)KIF,DPFλIFλSM1[Tlifetimet−12t2]Tlifetime0=12KIF,DPF(1−KSM1,DPF)λIFλSM1Tlifetime=12λSM1,DPF,latλIF,DPFTlifetime となります。なお、式変形中に弊社積分公式(471.3)を使用しています。
結果の(476.6)は次の図476.3に引用する規格第2版式のパターン1と正確に一致します。導出のベースがIFUモデルとなっているのが理由です。

さらに(476.6)は、次の図476.4に引用する規格初版第1式のパターン1に相当する部分(黄色部分)とも(IF⇒mと読み替えることにより)正確に一致します。導出のベースがIFUモデルとなっているのが理由です。

なお、本稿はRAMS 2024に投稿予定のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2024年2月頃に開示予定です。
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