Article #259

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FM-7 ROM吸出し器の改版 (4)

posted by sakurai on May 18, 2020 #259

DRAMのリフレッシュタイミング

本来は基板設計の前にタイミングを検討しますが、開発環境と合わせて基板を紹介したため、後になっています。まずMB8265-15のデータシートを入手します。以下にZ80によるリフレッシュ手法である$\overline{\text{RFSH}}$リフレッシュタイミングを示します。

図%%.1
図259.1$\overline{\text{RFSH}}$リフレッシュタイミング

表259.1 MB8265-15の動的特性
Parameter Symbol MB8265-15
Min Max
$\overline{\text{RFSH}}\text{ Set Up Time Referenced to }\overline{\text{RAS}}$ $\text{t}_\text{FSR}$ 100 -
$\overline{\text{RAS}}\text{ to }\overline{\text{RFSH}}\text{ Delay}$ $\text{t}_\text{RFD}$ 100 -
$\overline{\text{RFSH}}\text{ Cycle Time}$ $\text{t}_\text{FC}$ 270 -
$\overline{\text{RFSH}}\text{ Pulse Width}$ $\text{t}_\text{FP}$ 150 -
$\overline{\text{RFSH}}\text{ Inactive Time}$ $\text{t}_\text{FI}$ 100 -

PICのプログラム

DRAMのタイミング要求からPICのプログラムを検討します。PICの書き込み自体もArduino(Z80側)にやらせることもできそうですが、動作しない等のトラブルの可能性を考え、今回はPicKit4を用いたIn Circuit Programmingを行います。PicKit4上で書き込み、書き込み済みのPICをボード上のソケットにはめ込むことにしました。

PICのプログラムは基本的には前稿のようになります。Xrefckを4回アサートする場合、PICに対して16KHzでタイマー割り込みをかけ、以下のisr (interrupt service routine)を実行します。

初期化

  1. 各種レジスタ設定。
  2. Rfreq=L、Xrefck=Hを出力(ネゲート)。
  3. Z80Wを監視し、Z80WがLのときにのみ割り込み許可。

割込みルーチン(ISR)

  1. Rfreq=H、Xrefck=Hを出力 //リフレッシュ要求
  2. Rfgnt=Hを待つ
  3. Rfreq=H、Xrefck=Lを出力
  4. Rfreq=H、Xrefck=Hを出力 (3, 4を4回繰り返す)
  5. Rfreq=L、Xrefck=Hを出力
  6. リターン

1命令1サイクルでないため、命令数のカット&トライが必要です。

Arduino(Z80側)のプログラム

一方、Arduino(Z80側)ではPICのRfreqを監視し、Rfgntを発行することでバス調停を行います。

過去記事には、

Z80カードは、FM-7の内部バスに対して、別のバスマスタを使用可能にするものであり、メインCPUである6809から$FD05のLSBを1にすれば、メインCPUにHALTがかかり、外部バスマスタであるZ80による内部バスアクセスが可能になるものです

ということから、

  1. \$FD05に1を書き込み、6809にHALTを要求する。FM-7内部では*GH($\text{Go}/\overline{\text{Halt}}$, 負論理のHALT信号)がアサートされ、6809がBA=BS=Hとし、バスを明け渡す。
  2. Rfgnt=H (初期値)
  3. アクセス前に
     ・Rfreq=Lを待つ (リフレッシュ優先のため)。
     ・Rfgnt=Lとする。
  4. アクセス(アドレス出力、データ出力、EB/QB出力、データ入力)
  5. アクセスの終了時に
     ・Rfgnt=Hとする。
  6. 終了時にはアドレスに\$FD05をセットし、EB/QBをアサートせずに6809にバスを明け渡す。

となります。このうち3, 5が今回追加したアクセス法です。このように、お互いに待つ場合はデッドロックの可能性があるため、背理法により無いことを証明しておきます。

  • Aruduinoが待つ場合は、上記3.からRfgnt=Hとした上でPICを待つ
  • 上記からデッドロックがあるとすれば、Rfgnt=Hのとき、PICがRfgnt=Lを待つ場合
  • ところが、PICが待つのはRfgnt=Hであることから、矛盾、よってデッドロックは存在しない

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