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EOTTIの再計算 (2) |
今回、非冗長系のサブシステムにおけるPMHFの一般式は、(373.2)で求められました。また、検査周期がEOTTIである場合のアイテムのVSG確率の時間平均は、目標PMHF値$M_\text{PMHF}$以下となる必要があります。 $$ (1-K_\text{IF,RF})\lambda_\text{IF}+\frac{1}{2}K_\text{IF,RF}\lambda_{\mathrm{IF}}\lambda_{\mathrm{SM}}[(1-K_\mathrm{SM,MPF})T_\text{lifetime}+K_\mathrm{SM,MPF}\tau] \tag{380.1} $$ よって、(380.1)を用いて、$\tau$を$T_\text{eotti}$とした場合のPMHFに対する不等式を$T_\text{eotti}$について解きます。 $$ T_\text{eotti}\le\frac{M_\text{PMHF}-\left[\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{RF}+\frac{1}{2}\lambda_\text{IF,DPF}\lambda_\text{SM,DPF}(1-K_\text{MPF})T_\text{lifetime}\right]}{\frac{1}{2}\lambda_\text{IF,DPF}\lambda_\text{SM,DPF}K_\text{MPF}}\\ =\frac{M_\text{PMHF}-(\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{RF}+\frac{1}{2}\lambda_\text{IF,DPF}\lambda_\text{SM,DPF,lat}T_\text{lifetime})}{\frac{1}{2}\lambda_\text{IF,DPF}\lambda_\text{SM,DPF,lat}} \tag{380.2} $$ これに対して具体的な数値で計算すると、過去記事の表に基づき、
EOTTI | ケース1[H] | ケース2[H] |
---|---|---|
(2)式の結果 | 772 | 31 |
(3)式の結果 | 167 | 167 |
前回のEOTTI | 2,312 | 965 |
今回のEOTTI | 4,198 | 1,235 |
なお、なぜ規格上、ワーストケースの(3)式の結果と、一般ケースの(2)式の結果の2例の不等式が掲載されているのかは不明です。本来、一般ケースだけで良いはずです。というのは、ワーストケースを満足できなかった場合、これはワーストケースだから無視しても良いというなら、そもそも不要なはずです。守るべき数値目標のひとつだけにすべきです。
さらに不明な点は、規格式によるEOTTIは、表380.1のケース2において、ワーストケースの値167[H]よりも厳しい値31[H]のように、大小が逆転していることです。これは規格のPMHF式が過剰評価のためと思われます。PMHF式が過剰見積もり(保守的)の方向になる場合、EOTTIは過小見積もり(厳しく)となります。PMHF式により計算されたEOTTIがワーストケースのEOTTIよりも厳しくなっていることは、規格のPMHF式が不正確であることを示しています。
RAMS 2022においてMPF detectedの再考に基づくPMHF式の論文発表が終了したため、秘匿部分を開示します。