1st Editionと2nd Editionとの変化点
本稿ではISO 26262:2011を1st Edition、ISO 26262:2018を2nd Editionと呼びます。さて、7年間の議論を経て発効された2nd Editionではどこがどう変わったのでしょうか?
本ブログではハードウェア領域においての変化点をご紹介していきます。ISO 26262においてのハードウェア領域は主にPart 5、Part 10、及びPart 11となります。
Part 5
本文中の細かいところも変更されていますが、一見して目に付くのがAnnexの章立てが変更されていることです。
- 1st Edition Annex F (スケーリングファクタ)の廃止
- 2nd Edition Annex F (PMHFの評価例)の追加
- 2nd Edition Annex G (PMHFバジェッティング例)の追加
- 2nd Edition Annex H(レイテントフォールト取扱い例)の追加
これらひとつひとつについて、「ISO 26262変化点セミナー」でご説明予定ですが、ブログでも簡単に解説していきたいと思います。
Annex F (スケーリングファクタ)の廃止
スケーリングファクタは異なる故障率データベースからの故障率を混ぜて使用する場合、土台を合わせないと正しく使用できないことから、それについての注意点を記述した章でした。ところが2nd Editionでは削除されています。元々、1st Editionでは9.2.4.7にのみスケーリングファクタが書かれており、そこからAnnex Fへ参照となっていたものです。この9.2.4.7はPMHF手法による、安全目標侵害確率の評価の最後の章となっています。つまり1st Editionでは、PMHFを正しく求める方法としてスケーリングファクタを導出し、故障率の土台を合わせて計算することを推奨していました。
一方2nd Editionでは、章が削除されたとはいえ、スケーリングの議論は8.4.3に新設されています。8.4は故障率を異なるデータソースから算出する話なので、スケーリングについて触れるにはちょうど良い場所です。さらに備考に、スケーリングを正しく行わない場合SPFM/LFMにも悪影響が及ぶとあり、スケーリング対象をPMHFのみからアーキテクチャメトリクスまで広げていることは妥当と考えます。
まとめると、独自の章としては削除されたものの、スケーリングは一層重要になります。
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