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Pongと強化学習 (102) |
コードの続きの説明です。
このコードブロックは、強化学習における経験再生バッファ(Replay Buffer)へのデータの格納と状態の更新を行っています。具体的には、エージェントが環境から得た経験(観測、行動、報酬、終了フラグなど)をバッファに保存し、次のステップのための準備をしています。以下に、コードの各部分について詳しく説明します。
コードの詳細解説
1. 次の観測のコピー作成:
real_next_obs = next_obs.copy()
next_obs
(次の状態)のコピーを作成しています。このコピーは、truncated
(エピソードが最大ステップ数により切断されたかどうかのフラグ)に基づいて修正される場合があります。
2. 切断されたエピソードの処理:
for idx, d in enumerate(truncated):
if d:
real_next_obs[idx] = infos["final_observation"][idx]
このループでは、各環境インスタンスの切断状態をチェックしています。もしエピソードが切断されていた場合(d
が真)、最終観測(infos["final_observation"][idx]
)をreal_next_obs
の該当インデックスに設定します。これは、エピソードが途中で切断された際の正確な終了状態を反映させるためです。
3. 経験再生バッファへの追加:
rb.add(obs, real_next_obs, actions, rewards, terminated, infos)
経験再生バッファに現在の観測 (obs
)、修正された次の観測 (real_next_obs
)、実行されたアクション (actions
)、得られた報酬 (rewards
)、そしてエピソードの終了フラグ (terminated
) などのデータを追加しています。このバッファは後でランダムサンプリングを行い、DQNのネットワークをトレーニングする際に使用されます。
4. 観測の更新:
obs = next_obs
現在の観測を最新の状態 (next_obs
) に更新しています。これにより、次のループイテレーション(次の環境ステップ)でこの新しい状態が使用されます。
役割と重要性
このプロセスは、強化学習において非常に重要です。バッファに異なるエピソードからのデータを保存することで、学習過程でのサンプルの多様性が確保され、過学習のリスクが減少します。また、エピソードの切断が適切に扱われることで、エージェントの学習が現実の状況をより正確に反映するようになります。