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不稼働度$Q(t)$の別の方式 |
過去記事において不稼働度(Point Unavailability; PUA)を求めました。ここでは別の方式で不稼働度を求めてみます。
SMのフォールトが生起したとき、それがレイテントフォールトとなるかならないかは2nd SMの故障検出率で決定されます。これを$K_\text{SM,MPF}$とすると、従来は $$ K_\text{SM,MPF}=\Pr\{\text{detectable}\}\tag{740.1} $$ としてPUAである$Q(t)$を求めていました。
ここで新しく、 $$ K_\text{SM,MPF}=\Pr\{\text{detected }|\text{ failed at }t\}\tag{740.2} $$ この式(740.2)に基づいてPUAを導出します。これは、修理が完全に確率的に行われることを意味し、検出されるされないは故障の原因によらずにSMの能力のみに依存することになります。
不稼働度$Q(t)$の一般式
稼働度(Point Availability; PA)の公式から不稼働度は以下のように表せます。
$$ Q(t)=F(t)-\int_0^{T_\text{lifetime}}m(x)R(t-x)dx\\ =F(t)-\sum_{i=1}^nM(i\tau)R(t-i\tau)\tag{740.3} $$ 意味としては、フォールトが起きて累積していく分から故障が修理され、各修理分が現在まで生き残っている分を引いたものとなります。ここで$M(i\tau)$は定期修理点$i\tau$における修理率です。
Kパラメータの適用
さて、式(740.3)に式(740.1)を適用すれば、定期修理点$i\tau$における修理率$M(i\tau)$はその時点での不稼働確率$Q(i\tau)$に故障検出率を$K_\text{SM,MPF}$かけたものとなることから、
$$
Q(t)=F(t)-\sum_{i=1}^n K_\text{SM,MPF}Q(i\tau)R(t-i\tau)\tag{740.4}
$$
このQ(t)は定期修理区間毎に変わるので、定期修理区間を$i=0,1,2,...$で表せば、
$$ \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} Q_0(t)&=&0\quadただしt=0\\ Q_1(t)&=&F(t)\quadただしt\in(0, \tau]\\ Q_n(t)&=&F(t)-\sum_{i=1}^{n-1}K_\text{SM,MPF}Q_i(i\tau)R(t-i\tau)\quadただしt\ge\tau \tag{740.5} \end{array} \right. \end{eqnarray} $$
右辺に求めたい$Q(t)$を持つため、解析的に求めるのは困難であり、再帰的あるいは数値的に求めるしかありません。よってこれより次の$Q_2(t)$を求めれば、
この(740.4)式は誤りであり、再検討したこの記事に続きます。
$$
\begin{eqnarray}
Q_2(t)&=&F(t)-K_\text{SM,MPF}Q_1(\tau)R(t-\tau)\\
&=&F(t)-K_\text{SM,MPF}F(\tau)R(t-\tau)\quadただしt\in(\tau, 2\tau]
\tag{740.6}
\end{eqnarray}
$$
さらに次の$Q_3(t)$は、 $$ \begin{eqnarray} Q_3(t)&=&F(t)-K_\text{SM,MPF}Q_1(\tau)R(t-\tau)-K_\text{SM,MPF}Q_2(2\tau)R(t-2\tau)\\ &=&F(t)-K_\text{SM,MPF}\left[F(\tau)R(t-\tau)+\left(F(2\tau)-K_\text{SM,MPF}F(\tau)R(2\tau-\tau)\right)\right]R(t-2\tau)\\ &=&F(t)-K_\text{SM,MPF}\left[F(\tau)R(t-\tau)+\left(F(2\tau)-K_\text{SM,MPF}F(\tau)R(\tau)\right)R(t-2\tau)\right]\\ &&ただしt\in(2\tau, 3\tau] \tag{740.7} \end{eqnarray} $$ このようにかなり複雑な形になるため、実用的には数値計算することになります。
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