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Fault treeの自動生成 (16) |
3手法と正解値との比較表
3つの手法1, 2, 3について微妙に異なる結果が出たので、表にまとめます。まずExcelによる正解値を算出するのに不信頼度$F(t)$を $$F(t)\approxλt$$ と近似する場合。次に同じく不信頼度$F(t)$を $$F(t)=1-e^{-λt}$$ で表す場合。最後にSaphireでカットセット分析を実施した値の順に示します。
- | Method 1 | Method 2 | Method 3 | ||
---|---|---|---|---|---|
Excel | $F(t)\approx\lambda T$ | 頂上事象侵害確率 | 3.428e-3 | 7.903e-5 | 8.425e-4 |
PMHF [FIT] | 228.5 | 5.269 | 56.17 | ||
$F(t)=1-e^{-\lambda T}$ | 頂上事象侵害確率 | 3.385-3 | 7.840e-5 | 8.324e-4 | |
PMHF [FIT] | 225.7 | 5.227 | 55.49 | ||
Saphire | 頂上事象侵害確率 | 3.381e-3 | 7.841e-5 | 8.324e-4 | |
PMHF [FIT] | 225.4 | 5.227 | 55.49 |
SaphireとExcelによる$F(t)=1-e^{-\lambda T}$の結果が全て一致したことから(これは次稿で解説予定)、Saphireは不信頼度を近似式ではなく正確に求めていることがわかります。ただし、最初の$\lambda T$はPMHF計算の近似により算出された項であることからこれはこれで正しいと考えられるので、$1-e^{\lambda T}$やSaphireの計算のほうが正確であるとも言えません。
PMHFにおける$\tau$の効果
次にMethod 3における$\tau$の値の効き方を調べます。論文においては$\tau=1 [H]$であるようでした。一方ブログでは$\tau=3,420 [H]$として計算しています。これがASIL-Dターゲットにおいてどの程度まで小さくする必要があるかをExcelのゴールシークで調べたところ、 $$\img[-1.35em]{/images/withinseminar.png}$$ という結論になりました。これは車両寿命の2.17%となり、このような冗長系がASIL-Dを満足するためには、定期点検修理間隔は車両寿命の2.17%未満である必要があります。
なお、本稿はRAMS 2026に投稿予定のため一部を秘匿していますが、論文公開後の2026年2月頃に開示予定です。