Article #65

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PMHF規格第3式の導出

posted by sakurai on October 7, 2018 #65

安全機構フォールトによるVSGの場合のPMHF計算

DPFにはもう1パターンが存在します。それがMのフォールトがSMにより抑止されているものの、SMフォールトが引き続いて起こる場合です(表63.1のCase 2)。

この状態がレイテントになるのかならないのかが曖昧です。PMHF式では次に示すようにVSGとなる場合に含まれているので、PMHFの観点ではレイテントとなると考えられますが、一方でLFMではこの状態は計算に入っていません。規格に自己矛盾が見られます。

PMHF規格第3式では、

図%%.1
図65.1 Part10 8.3.3 PMHF規格 第3式
のように「故障の次数がはっきりしない場合」と訳していますが、orderを次数としたのは誤りで、これは順番と訳すべきです。なぜなら、PMHF規格第1式は主機能とSMのフォールトの順番を条件としているためです。また、irrelevantにはっきりしない場合という訳は無く、無関係な場合と訳すべきです。

それでは「故障の順番が無関係な場合」とはどういうことでしょうか?実は前稿で求めたのが、最初のフォールトはどうあれ、主機能MのフォールトによるVSG確率でした(表63.1のCase 1及びCase 4)。従って、「故障の順番が無関係」とは、両方(全て)の条件の場合を意味し、次に必要なのはSMのフォールトによるVSG確率です(表63.1のCase 2及びCase 3)。とはいえSMの単一フォールトでVSGとはならないので、SMフォールトはDPF確率のみを考えます(表63.1のCase 2)。

マルコフ状態遷移図でのLAT1→DPF

従って、SMによるVSG(DPF)の微小不稼働確率は、 $$ q_{SM,DPF}(t)dt=\Pr\{\text{LAT1 at }t\cap\text{SM down in }(t, t+dt]\}\\ =\img[-1.35em]{/images/withinseminar.png} \tag{65.1} $$ と求められ、平均PUDを計算すれば、 $$\overline{\varphi_{SM,DPF}}\approx\frac{1}{2}K_{M,FMC,RF}\lambda_M\lambda_{SM}\left[(1-K_{SM,FMC,MPF})T_{lifetime}+K_{SM,FMC,MPF}\tau_{SM}\right]\tag{65.2}$$ となるため、(63.1)と加え合わせれば、順番によらない式(というか、MまたはSMによりVSGとなる確率式) $$M_{PMHF}\approx(1-K_{M,FMC,RF})\lambda_M\\ +K_{M,FMC,RF}\lambda_M\lambda_{SM}\left[(1-K_{SM,FMC,MPF})T_{lifetime}+K_{SM,FMC,MPF}\tau_{SM}\right]\\ =\lambda_{M,RF}+\lambda_{M,DPF}(\lambda_{SM,DPF,lat}T_{lifetime}+\lambda_{SM,DPF,det}\tau_{SM})\tag{65.3} $$ が求められます。

前稿と同様、車両寿命の項と比べて定期検査時間による項が十分小さく無視できる場合、つまり$\lambda_{SM,DPF,lat}T_{lifetime}\gg\lambda_{SM,DPF,det}\tau_{SM}$の場合、(65.3)は $$M_{PMHF}\approx\lambda_{M,RF}+\lambda_{M,DPF}\lambda_{SM,DPF,lat}T_{lifetime}\tag{65.4} $$ となり、PMHF規格第3式の

図%%.2
図65.2 Part10 8.3.3 PMHF規格 第3式(再掲)
正確に一致します。

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