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RAMS2024での論文発表 |
過去記事に記載のとおり、RAMS 2024は、2024年1月22日から25日まで、米国ニューメキシコ州アルバカーキのクライドホテルで開催されました。弊社代表は最終日に論文発表を行いました。
本論文のタイトルは、"Identifying and Rectifying the Potential Faults in the Probabilistic Metric (PMHF) Formula in ISO 26262"です。邦題は「ISO 26262における確率的メトリック式(PMHF)の潜在的フォールトの特定と修正」となります。潜在的フォールトもしくはシステマティックフォールトとは規格用語であり、一般的には、エラーとか誤りとか呼ばれる欠陥を意味します。
本論文は規格PMHF式の導出過程を分析することでPMHF式の問題点11か所を識別します。さらにそれらの問題点を全て修正すると、先に弊社が提案したPMHF式と一致することを示します。提案するPMHF式を使用することでPMHF値の過剰見積もりを防ぐことができます。従ってこのアプローチにより、自動運転に代表される高信頼システムの設計がより容易になることが期待されます。
質問は2件ありましたが、ほぼ同一内容でした。
Q: マルコフ連鎖状態遷移は時間依存であるのに、なぜPMHFは定数なのか?
A: マルコフ連鎖状態遷移で確率微分方程式を建てると、ご質問のように時間依存の関数となります。これは確率密度関数であり、具体的には修理を考慮した、我々の用語でいう不稼働確率密度です。これは定数として扱うことができる故障率と異なり時間依存の関数です。規格はこれについて車両寿命間の平均を取り、PMHFとして定数として扱います。