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Pipeline processorの設計 (4) |
プロセッサパイプライン
本稿ではコンピュータの設計が主題なので、社内メール処理ではなく、プロセッサパイプラインについて解説します。プロセッサの命令にはRISC形式、CISC形式が存在しますが、ここではRISC形式を取り上げます。
RISCとCISC
このRISC/CISCの別は、実はパイプライン構造から発しており、パイプラインステージ中にメモリアクセスが1回のものをRISC、2回以上のものをCISCと呼びます。元々はメモリ上のデータを書き換えるのがプロセッサの役目なので、CISCが先に発明されたのですが、パイプライン化を考えた場合にパイプラインステージ中に複数のメモリアクセスステージが存在すると、パイプラインハザードが起こりやすくなるのが欠点でした。
これに対して演算をレジスタに限り、メモリアクセスをロードストアのみに限定したのがRISCです。パイプラインステージ中にメモリアクセスが1か所で固定されているため、メモリアクセスにはRAWハザードがありません。レジスタのRAWハザードのみを考慮すれば良いことになります。
RISCのメリット・デメリット
RISCのメリットは種々あり、
- 32bit固定長命令によるデコードの簡略化
- レジスタフィールドの固定により、デコードせずにソースレジスタの読み出しが可能
- 複雑な命令の排除による命令デコーダの高速化
等がありますが、その根本はメモリ演算の廃止によるものです。メモリアクセスはロードストアのみと割り切り、演算はレジスタを対象とすることでパイプライン制御を単純化し、上記の特徴も併せて高速化が可能となりました。
一方で命令長が32bit固定でかつ複雑な命令を単純な命令の組み合わせで実行することから、命令コード効率はあまり良くありません。ワークステーション等では問題なかったこの欠点は、16/32bit混合の導入により組み込み向けの応用では改善が行われています。