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2nd Edition PMHF式の詳解 (4) |
DPFの使用法の混同
図332.1に、あるエレメントに1点目のフォールトが起き、その後定期検査が行われ、フォールトが分類され、しばらく運転した後(数年後かもしれない)、関係するエレメントに2点目のフォールトが起きてSGを侵害する場合のDPFの状況を示します。
1点目と2点目のエレメントは関係するエレメントである必要があります。関係とは、1点目のIFのフォールトに対する2点目のSM1のフォールト、あるいはその逆の、1点目のSM1のフォールトに対する2点目のIFのフォールトの意味です。これらのフォールト生起順をIF⇒SM1、SM1⇒IFと記述します。この記法は弊社論文で初めて導入したものです。
ここで、primary DPFに注目すればSM1⇒IFの場合であり、図332.1において、最初がSM1のフォールト、次がIFのフォールトとなる場合です。
ところが、ややこしいことに、最初に起きるのはSMのDPF(=DPF,{latent, detected, percieved}の総称)=primary DPFであり、次にIFのDPFが起きるので、両方ともDPFと呼ばれます。実は、primary DPFもsecondary DPFも最初のフォールトのことです。これが規格を分かりにくくさせています。
まとめるとDPFには2とおりの意味があります。
- 1点目のフォールトであり、ただちにVSGとならず、別のフォールトとの組み合わせによりVSGとなる可能性のあるもの
- 2点目のフォールトであり、1点目のフォールトとの組み合わせによりただちにVSGとなるもの
このように、規格は誤解しやすいネーミング法を取っており、DPFといったときに2とおりの意味があります。最初に起きる「SMのDPF=primary DPF」は、あくまで1点目のフォールトです。これはどちらかと言えば誤った用語であり、本来は本当に2点目に起きるフォールトをDPFと呼ぶべきです。1点目フォールトのことをDPFと呼ぶのは紛らわしいので、用語を変え、例えばPotential Fault (PF)として欲しかったところです。
ただし、式の計算中のDPFは、全て1点目のフォールトと思えばOKです。その理由は、2点目のフォールトが起きる場合はVSGとなるので、その故障率を使用することはないためです。従って式の計算中にDPFとあれば、全て1点目のフォールトだと文脈で分かります。