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ISO 26262のFTAに関する論文 (7) |
詳細を見れば誤りはさらに種々あります。まず、Fault TreeのTOPの図を示します。ここで、エレメントAやBは前々稿図205.1に示す、完全冗長を構成する2つのエレメントを指します。
- E1 A&Bに同時にSPFが起こる
- E2 AにRFが起き、引き続きBにSPF/RFが起こる
- E3 BにRFが起き、引き続きAにSPF/RFが起こる
- E4 AにLFが起き、引き続きBにSPF/RFが起こる
- E5 BにLFが起き、引き続きAにSPF/RFが起こる
まず事象E1ですが、エレメントAとBは同時に故障する確率はa.s.(almost surely; ほぼ確実に)0なので、これ以下のサブツリーは考える必要がありません。
次に{E2, E4}, {E3, E5}のペアで考えると、{E2, E4}はどちらも先にAに故障が起き、次にBに故障が起きるDPFを意味しています。その中で、Aの先故障をさらにRFとLFに分解しています。
ここで、(書かれていませんが)AにSPFが起こらないのは正しいです。Aに故障が起きても必ず(従属故障が無い限り)Bが代替機能を果たすため、系(サブシステム)としてSPFにはなりません。
次に事象E2においてAにRFが起きるという記述が誤りです。AにRFが起きるということは、Aの1点故障によりVSGが起きることなので、Aに故障が起きても必ず(従属故障が無い限り)Bが代替機能を果たすため、VSGは起きません。従って、Aの故障の場合はLFとなり、全て事象E4になります。従って、E2は考慮する必要がありません。
事象E3も同様です。以上から、E1, E2, E3は不要で、E4, E5のみが残ることになります。