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posted by sakurai on February 17, 2026 #1063

PFH と PMHF の厳密量の差

前稿では、修理系の危険事象に対する PFH を計数過程に基づいて定式化しました。本稿では、同じ危険事象に対して PFH と PMHF 型の量が厳密にはどこで異なるのかを整理します。結論を先に言えば、その差は区間内における 2 回目以降の危険事象の寄与です。

前稿の定義より、区間 $[0,T]$ における危険事象の発生回数を $N_\text{DF}(T)$ とすると、PFH は

$$ \mathrm{PFH}(0,T)=\frac{1}{T}E\{N_\text{DF}(T)\} \tag{1063.1} $$

です。

同じ危険事象に対して、その初回発生時刻を

$$ \sigma_\text{DF}:=\inf\{t\ge0\mid N_\text{DF}(t)\ge1\} \tag{1063.2} $$

と定義します。

このとき、

$$ \{\sigma_\text{DF}\le T\}=\{N_\text{DF}(T)\ge1\} \tag{1063.3} $$

が成り立ちます。したがって、初回到達型の量の寿命平均は

$$ \frac{1}{T}\Pr\{\sigma_\text{DF}\le T\} =\frac{1}{T}\Pr\{N_\text{DF}(T)\ge1\} \tag{1063.4} $$

です。VSG を吸収集合として扱う PMHF は、この形の量に対応します。

一方、PFH に現れる期待回数は

$$ E\{N_\text{DF}(T)\} =\sum_{n\ge1}n\,\Pr\{N_\text{DF}(T)=n\} \tag{1063.5} $$

です。

これに対して、初回到達確率は

$$ \Pr\{N_\text{DF}(T)\ge1\} =\sum_{n\ge1}\Pr\{N_\text{DF}(T)=n\} \tag{1063.6} $$

です。したがって両者の差は

$$ E\{N_\text{DF}(T)\}-\Pr\{N_\text{DF}(T)\ge1\} =\sum_{n\ge2}(n-1)\Pr\{N_\text{DF}(T)=n\} \tag{1063.7} $$

となります。

この式が示しているのは、PFH と PMHF 型の量の厳密な差が、区間 $[0,T]$ における 2 回目以降の危険事象の寄与そのものである、ということです。修理系では危険事象発生後も修理復帰し得るため、この項は一般には消えません。

これに対して、寿命区間 $[0,T]$ において危険事象は高々 1 回しか起きないという希少事象近似を

$$ \Pr\{N_\text{DF}(T)\ge2\}\approx0 \tag{1063.8} $$

と置けば、

$$ E\{N_\text{DF}(T)\}\approx\Pr\{N_\text{DF}(T)\ge1\} \tag{1063.9} $$

となります。したがって

$$ \mathrm{PFH}(0,T)\approx\frac{1}{T}\Pr\{\sigma_\text{DF}\le T\} \tag{1063.10} $$

です。

要するに、PFH と PMHF の違いは、厳密には繰返し発生を数える量と初回到達をみる量の違いです。しかし希少事象近似を寿命区間全体にまで拡張すると、その差は 2 回目以降の発生確率に押し込められ、1 次では見えなくなります。次稿では、このことを踏まえて、同じ IF-SM 潜在状態モデルを PFH 側に持ち込んだとき、PMHF とどこまで同じ形になるかを整理します。


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