Article #1080

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PMHFの簡易導出

posted by sakurai on May 19, 2026 #1080

論理式だけによるIFUのPMHF式導出 その1

PMHF式は、故障シナリオを工学的に分解することでも導くことができます。ここでは、IFが修理されないIFU、IF unrepairableの場合を扱います。

$\overline{IF}$をIFの故障、$\overline{SM}$をSM1の故障とします。$DC_1$は、IF故障がSM1のカバレッジ内にある事象を表します。

まず、IF故障が発生した瞬間のVSG判定式を置きます。IF故障は、SM1が正常に動作し、かつそのIF故障がSM1のカバレッジ内にある場合にだけVSG抑止されます。したがって、VSGは次のように表されます。

$$ \{VSG\}=\{\overline{IF}\setminus(SM_{\sigma_\text{IF}}\cap DC_1)\} \tag{1080.1} $$

ここで、$SM_{\sigma_\text{IF}}$は、IF故障時点でSM1が正常であることを表します。したがって、(1080.1)は、IF故障から、IF故障時点でSM1によりVSG抑止される部分を除いた式です。

まず、差集合を積集合に変換し、さらにド・モルガンの法則を用います。

$$ \begin{eqnarray} \{VSG\}&=&\{\overline{IF}\cap\overline{(SM_{\sigma_\text{IF}}\cap DC_1)}\}\\ &=&\{\overline{IF}\cap(\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cup\overline{DC_1})\} \end{eqnarray} \tag{1080.2} $$

(1080.2)は、IF故障時点で、SM1が故障しているか、またはIF故障がSM1のカバレッジ外であればVSGになることを表します。

次に、(1080.2)の右辺に現れる条件$\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cup\overline{DC_1}$をMECEに分解します。

$$ \begin{eqnarray} \overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cup\overline{DC_1} &=&(\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}) \sqcup (\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cap DC_1) \sqcup (SM_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}) \end{eqnarray} \tag{1080.3} $$

この分解は、VSGになる条件だけを3通りに分けたものです。

1つ目は、IF故障時点でSM1が故障しており、かつIF故障がSM1のカバレッジ外にある場合です。

2つ目は、IF故障時点でSM1が故障しており、かつIF故障がSM1のカバレッジ内にある場合です。

3つ目は、IF故障時点でSM1は正常であり、かつIF故障がSM1のカバレッジ外にある場合です。

したがって、VSG事象は次の3つの排反事象に分かれます。

$$ \begin{eqnarray} \{VSG\} &=&\{\overline{IF}\cap\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}\} \sqcup \{\overline{IF}\cap\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cap DC_1\}\\ &&\sqcup \{\overline{IF}\cap SM_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}\} \end{eqnarray} \tag{1080.4} $$

ここで、VSGになる3つの枝を故障分類の観点で整理します。

まず、(1080.4)の第1項と第3項は、どちらもIF故障がSM1のカバレッジ外にある枝です。第1項ではSM1も故障していますが、IF故障がカバレッジ外であるため、SM1が正常であってもVSGに至ります。したがって、この2つはSPFまたはRF側にまとめられます。

$$ \begin{eqnarray} \{\overline{IF}\cap\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}\} \sqcup \{\overline{IF}\cap SM_{\sigma_\text{IF}}\cap\overline{DC_1}\} &=&\{\overline{IF}\cap\overline{DC_1}\cap(\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\sqcup SM_{\sigma_\text{IF}})\}\\ &=&\{\overline{IF}\cap\overline{DC_1}\}\equiv\{VSG_\text{SPF/RF}\} \end{eqnarray} \tag{1080.5} $$

SPF/RF側の条件は、IF故障がSM1のカバレッジ外にあることです。したがって、(1080.4)の第1項と第3項は、SM1の状態にかかわらず、そのIF故障だけでVSGに至るSPFまたはRF側の枝としてまとめられます。

図%%.1
図1080.1 SPF/RF図

一方、(1080.4)の第2項は、IF故障がSM1のカバレッジ内であり、かつIF故障時点でSM1が故障している枝です。

$$ \{\overline{IF}\cap DC_1\cap\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}\}\equiv\{VSG_\text{DPF}\} \tag{1080.6} $$

DPF側の条件は、IF故障がSM1のカバレッジ内にあり、かつIF故障時点でSM1が故障していることです。これは、IF故障とSM1故障の組合せによりVSGに至る枝であり、MPFのうち2個の故障によるDPFに対応します。

図%%.2
図1080.2 DPF図

以上より、VSG事象は、最終的に次の2つの排反事象に整理されます。

$$ \{VSG\}=\{VSG_\text{SPF/RF}\}\sqcup\{VSG_\text{DPF}\} \tag{1080.7} $$

ここまでで、VSG事象はSPF/RF枝とDPF枝に排反分解されました。次回は、DPF枝に含まれる$\overline{SM}_{\sigma_\text{IF}}$の意味を時間順序として表し、さらに暴露時間により分解します。


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