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RAMS 2020論文ポスター解説 (2) |
タイトルは論文と同じですが、Probabilistic Metric for Random Hardware Failuresの文字を赤く強調し、さらにカッコ書きでPMHFの注記を入れています。
論文の題名は、ISO 26262に適合したPMHFの一般式です。一般式の意味は、規格1st editionがSMのみがリペアラブルという特殊なサブシステムが対象だったのに対し、IFもSMもリペアラブルの場合という、冗長を含む一般的なサブシステムが対象であるという意味です。
第1節です。文字通り、PMHFとは何かを説明しています。
PMHFとは、自動車の機能安全設計において重要な目標数値で、おおよそシステム全体の故障率と言えます。車両サブシステムの設計者は、サブシステムの安全レベルに従った数値以下に減らさなければなりません。
図はヘッドライトにASIL-Aが、エンジン制御にASIL-Dが割り当てられている場合です。ヘッドライトは特に数値目標無し、エンジン制御はPMHFは10 FITで設計する必要があります。
PMHFの規格上の定義は、"車両寿命における単位時間当たりの平均(故障)確率"です。しかしながら、規格には数学的な定義がありません。
PMHF式は2011年発行の規格である1st editionから、2018年発行の2nd editionに改訂されました。図示するように、パターン3及び4の場合が追加されています。パターン1及び2が、SM1がリペアラブルなのに対して、パターン3及び4はIFがリペアラブルな場合です。IFがリペアラブルな場合は、SM1が代替しなければ直ちにVSGとなるため、実際には冗長構成となります。つまり、弊社のPMHF第1論文で2017年に指摘したとおり、1st editionで対応していない冗長サブシステムに対して、規格が2nd editionで対応したものと受け取ることができます。
しかしながら、その対応には問題がありました。その問題は、記事RAMS 2020ポスター解説 (5)により説明します。