Posts Tagged with "LTSpice"

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Pongの開発 (7)

posted by sakurai on November 14, 2023 #696

可変抵抗器の作成

標準ではLTSpiceに可変抵抗器は存在しないようです。そこで可変抵抗器のモデルを作成してLTSpiceに組み込んでみました。参考にさせて頂いたのはこのページ(魚拓)です。

図%%.1
図696.1 可変抵抗器等価回路

図696.1のZo1-Zo2間に0-10kΩの可変抵抗を発生させる仕様であり、インピーダンスがゼロとならないよう、電源内部に1Ω抵抗を入れています。以下はこの部品のSpice記述です。

.SUBCKT ZX In1 In2 Z Zo1 Zo2
Eout Zo1 1 POLY(2) (In1,In2) (Z,0) 0 0 0 0 1
Fcopy 0 Z Vsense 1
Rin In1 In2 1G
Vsense 1 Zo2 0
.ENDS

これを用いたLTSpiceにおける部品の作成法を示します。

  • 上記記述をZX.subとしてC:\Users\ユーザ名\AppData\Local\LTspice\lib\subに配置
  • OpenによりZX.subを開くが拡張子が制約されており対象に出ないため、全ファイルを対象として開く
  • 1行目を右クリックしてCreate Symbolを行う

これを組み込んだ回路のシミュレーションを実施したので以下に回路と波形を示します。

図%%.2
図696.2 可変抵抗器使用回路

制御電圧$V_\text{1}$(グリーン)は実際には存在しない制御電圧で0~1.0Vです。Zo1とZo2の間がこれにより0~10KΩとなります。$V_\text{in}$(ブルー)は0.3~3.3Vとなり、CmodA7入力電圧$V_\text{1}$(マゼンタ)は0.3~3.2Vとなっています。ADCの入力電圧$V_\text{out1}$(ブルーグリーン)は0.07~0.94Vとなっています。ただし変化が急かもしれないので、その場合にはR5を例えば10KΩと大きくすることで調整します。

図%%.3
図696.3 可変抵抗器使用回路

R5を10KΩとした場合、ADCの入力電圧$V_\text{out1}$(ブルーグリーン)は0.2~0.94Vと下側が上がったものの、変化が穏やかになりました。

秋月の10KΩの可変抵抗器Bを見ると可変角は最大300°だそうで、使用感を考えると可変抵抗を最大まで使うよりも角度の一部を使ったほうが使いやすそうです。そのためADC入力電圧の下側を上げて47KΩとし、回転角の60~90°くらいを使用したほうが良いかもしれません。


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Pongの開発 (6)

posted by sakurai on November 13, 2023 #695

エミッタフォロワ

インピーダンス変換のためにNPN Trでエミッタフォロワ回路を構成しました。

図%%.2
図695.1 エミッタフォロワ回路と波形

ところが、TrがOnしても電圧降下が約0.8Vもあり、エミッタ電圧$V_\text{Tr}$(マゼンタ)は約2.5V Max程度となり、さらにADCの入力電圧$V_\text{out1}$(グリーン)は約0.75V Maxとなっています。

改善はされましたが1V近くまでは上昇しませんでした。もっともパドルの制御なのでどうでもよいことかもしれません。


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Pongの開発 (5)

posted by sakurai on November 10, 2023 #694

パドルコントロール

さて、Pongの実装で欲しくなるのがパドルコントロールのためのツマミです。一般には可変抵抗器で実装しているようです。幸いCmodA7にはアナログ入力があるので、可変抵抗器を接続すればよさそうです。

FPGAボード内のアナログ入力は以下のようになっています。外部の0~3.3Vの電圧を抵抗で分圧し、FPGAのADC入力は0~1Vの入力としています。入力インピーダンスが高いとは言えないので、外部回路の出力インピーダンスが高い場合問題になります。

図%%.1
図694.1 CmodA7 ADC入力回路

可変抵抗器は出力インピーダンスが変化するので、設計が案外面倒です。最大と最小のみの2点だけを考えれば良いのかもしれませんが、ここではアナログ回路シミュレータであるLTSpiceを使用してみます。

まず、可変抵抗器のシミュレーションをする前に、出力インピーダンスが高い場合にどうなるかを見てみます。出力インピーダンスが3.3Kとした場合の回路とシミュレーション波形です。浮遊容量を少し付加しています。

図%%.2
図694.2 出力インピーダンス3.3Kと波形

サイン波形を入れていますが、DC特性を見る目的です。

波形から明らかなように、基準電圧$V_\text{in}$(ブルー)は3.3Vまで上昇しているにも関わらず、出力インピーダンスが後段の入力インピーダンスと同程度であるため、CmodA7ボードの入力電圧$V_\text{1}$(レッド)は期待の3.3Vまで上昇せず1.6V Maxとなり、分圧したADCの入力電圧$V_\text{out1}$(グリーン)は0.5V Maxと半分しか上がりません。


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