Posts Issued on March 22, 2026

posted by sakurai on March 22, 2026 #1065

PFH の $\sum\lambda$ 式はどの仮定から出るか

本稿では、その表示式の背後にある仮定を整理します。

前稿の結果を抽象化すると、PFH 側で、危険事象の直前にある潜在状態の時点不稼働確率を $U_\text{LAT}(t)$、そこから危険事象を生じさせる最後の危険故障率を $\lambda_\text{last}$、単独で危険事象を生じさせる SPF 寄与を $\lambda_\text{SPF}$ としたとき、

$$ \mathrm{PFH}(0,H)\approx\lambda_\text{SPF}+\frac{\lambda_\text{last}}{H}\int_0^H U_\text{LAT}(t)\,dt \tag{1065.1} $$

と書けます。

第1の仮定は、各サブシステムの内部時間依存を、あらかじめ 1 個の平均故障率に縮約していることです。すなわち、サブシステム $i$ に対して、危険事象への流入頻度を $w_i(t)$ とすると、その平均値

$$ \lambda_i:=\frac{1}{H}\int_0^H w_i(t)\,dt \tag{1065.2} $$

だけでサブシステムを代表させる、という仮定です。規格で「各サブシステムの $\lambda$ を計算して足し合わせる」と書かれているとき、まずこの縮約が暗黙に入っています。

第2の仮定は、サブシステム内部で潜在状態を経由する 2 次項を省略していることです。すなわち、(1065.1) の第2項

$$ \Delta_\text{2nd}(H):=\frac{\lambda_\text{last}}{H}\int_0^H U_\text{LAT}(t)\,dt \tag{1065.3} $$

に対して

$$ \Delta_\text{2nd}(H)\ll\lambda_\text{SPF} \tag{1065.4} $$

として、これを無視します。すると

$$ \mathrm{PFH}(0,H)\approx\lambda_\text{SPF} \tag{1065.5} $$

となります。

最後に、互いに独立な SPF 寄与が $m$ 個あり、それぞれの平均危険故障率を $\lambda_i$ とすると

$$ \lambda_\text{AVG}\approx\sum_{i=1}^{m}\lambda_i \tag{1065.6} $$

です。これが規格で見える $\sum\lambda$ 形です。ここでの加算そのものは、通常の独立レアイベント近似の範囲に属します。

このことは、1059 で得た PMHF の DPF 項

$$ \frac{1}{2}\lambda_\text{IF,DPF}\lambda_\text{SM}\bigl((1-K_\text{SM,DPF})T+K_\text{SM,DPF}\tau\bigr) \tag{1065.7} $$

と比較すると分かりやすくなります。前稿の PFH の 2 次項とこの DPF 項は、どちらも

「第1故障率 × 平均露出時間 × 第2故障率」

という同じ 2 次構造を持っています。したがって、規格を素直に読む限り PFH は SPF の和として理解されますが、状態モデルを復元すると PFH 側にも 2 次項は現れ、そこで初めて PMHF の DPF 項と同じ数理構造が見えてきます。


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