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要求と要件 |
要求
要求について考えてみましょう。ところで似たような言葉に要求と要件とがあります。似たような概念であるため、混用して使用されることも多いですが、ここでは異なる意味として定義をはっきりさせておきたいと思います。
まず要求ですが、顧客の要求を意味することが多いです。顧客要求は文字通り顧客の要望であり、それは整理されておらず、たまには矛盾する要望が存在します。それが開発側に伝えられるわけですが、開発側はそれをシステマティックに整理し、矛盾は取り除き、開発側の要件とします。従って、同一のようなものでありながら、顧客からリリースされた時点では要求であるのに比べて、要求分析を実施し、再定義することにより要件となります。
仕様
それでは仕様とは何でしょうか。要求も仕様も、これもまた混用して用いられますが、本来ははっきりと異なった意味があります。以下の参考URLを見て頂ければわかりますが、端的には要求(要件)はWhatであり、仕様はHowだということです。要求は、方法はともかくこのように動いて欲しいという振る舞いを機能的に(=機能要求)、非機能的に(=非機能要求)表すのに対して、仕様はどのようにそれを実施するかを記述します。
https://wellfire.co/learn/requirements-and-specifications/
要求と仕様の具体例
要求を細分化して実現可能な仕様に落としていく作業のことを「設計」と呼びますが、抽象的な概念であるため、理解のために具体例を挙げてみます。例えばあなたが支社に勤務しているとして、上司から「本社に出張してくれ」と言われたとします。まぎれもなくこれは要求です。手段はどうあれ、物理的に移動することが目標となります。もちろん、暗黙の非機能要求として「時間、費用を最小にしてくれ」という要求もあります。従って、支社から本社に一足飛びにヘリコプターで行くのは採用できません。公共交通機関を利用するとして、支店もよりのA駅、本社最寄りのB駅を結ぶ鉄道を思い浮かべます。
この頭の中で一瞬で行うのはおおまかな「支社→本社」という要求を実現可能な手段に合わせて「支社→A駅」(徒歩)、「A駅→B駅」(鉄道)、「B駅→本社」(バス)という要求に分割したことにほかなりません。これは出張を設計したことになります。
安全設計
ここまでは機能安全に関係ない、一般の設計でしたが、ここからが関係してきます。出張においての安全設計とはなんでしょうか?例えば前記本社への出張で、鉄道が不通になったら「鉄道が不通になったのでいけません」ということになります。重要な会議の場合は「なんとしてでも行ってくれ」ということになると思います。 機能安全では回路の中でも重要とそうでないものを識別するように要求されており、安全に関連するものとしないものを区別する必要があります。安全に関連するものは、場合によってはどうしても達成する必要があります。この場合のどうしてもというのは、例え一点故障があってもの意味合いです。 さて、出張に戻り安全設計を考えると、本来の要求の冗長の要求を導出します。導出といっても同じ要求のコピーです。ただし、異なる手段が必要となります。例えばA駅とB駅間で私鉄とJRが並走していれば、別の鉄道を使うことになります。そうでない場合は、例えば「支社→C駅」(バス)、「C駅→D駅」(別の鉄道)、「D駅→本社」(バス)ということになります。
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