Article #166

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posted by sakurai on October 10, 2019 #166
  • 前稿の菱形の続きです。安全機構(SM)を取り去った場合に安全目標侵害(VSG)を侵害するかどうかを判定する菱形と説明しました。VSGとなる場合(yes)は下に移動します。VSGとならない場合(No)は右横に移動します。言い換えると、ここでは主機能(IF)かSMかを判定しています。故障してVSGとなる可能性のある(yes)部品はIFです。可能性の無い(no)部品はSMです。

  • 下に来た場合(yes, IF)は、先ほど取り去ったSMを戻して、それに着目します。SMがあるかどうかを判定している菱形なので、SMがあれば(yes)下に移動します。SMが無い場合は(no)左下に行き、($\lambda_\text{SPF}$と書かれていますが、定性的に)SPFと判定されます。ここはこれで終了です。

  • その下の円形では、SMによってVSGを抑止しているかどうかを判定します。要はSMが安全目標侵害を防止している割合を聞いています。ここで注意するのはあくまで「抑止」$\dagger$であって「検出」ではないことです。原文に抑止が無いのでわかりにくいのですが、どのくらい抑止されるかのカバレージを聞いています。本来定量的にするべきですが、カバーされない分は下に移動し、その故障をRF(Residual Fault)と判定します。一方、カバーされる分は故障があるが発現していない状態であるので、レイテント故障の候補として、上に移動します。

図%%.1
図166.1 Part 5故障分類フローチャート

判定ボックスに菱形と円形とがありますが、菱形はYes/Noでいずれかを選択するのに比べて、円形は確率的な判断であり、Yesにx%、Noに1-x%となります。

$\dagger$ちなみに「抑止」は「検出」を含む広い概念です。逆に1st SMの機能を「検出」と言ってしまうと「検出ではない抑止」を含まないので誤りとなります。この誤りは、ある記事のように多く見られる誤りです。一般にはSMの機能は検出である場合が多いのですが、例えば冗長回路の場合は検出にはなりません。冗長回路は故障を全く検出しませんが、単一故障によるVSGを抑止します。


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4 comments to "故障分類とフローチャート (3)"

#2
shigeki hattori says:
December 9, 2019 at 02:25 pm

可能であればご回答頂けるとありがたいです。 "Potential to violate a SG"とありますが、ここではSGの侵害可能性だけを考えればよく、SGから導出されたFSRやTSRを侵害する可能性については考えなくてもいいのでしょうか。

#3
sakurai (the author) says:
December 10, 2019 at 03:32 pm

SG、すなわち安全目標は最上位の安全要求であり、一方FSRやTSRはSGから導出された安全要求です。従って、仮にシステムが直列系だとすれば、どの安全要求を侵害しても安全目標の侵害となるはずです。一方、先の仮定で直列系以外とすれば、どこかに並列系が存在するはずですが、そこだけを見れば冗長系であり、冗長の一方を安全機構としてみることができます。この菱形(図166.1の上部)には安全機構の不在の時、とあるので、その安全機構を除くことにより、システムを直列系とみなすことができます。以上から、安全要求の侵害について検討すれば、それは安全目標の侵害に直結し、その侵害も判定することになります。ただ、現場では安全要求の導出誤りの可能性もあるため、安全要求の侵害と同時に安全目標侵害の判定も合わせて行います。

#4
shigeki hattori says:
December 11, 2019 at 07:06 pm

ご回答頂きありがとうございました。

#5
sakurai (the author) says:
December 12, 2019 at 08:42 am

本文中の注について正しく無い表現があったため、「抑止」⇒「検出ではない抑止」と修正しました。また、「ある記事」について、リンクをその説明を書いたブログに変更しました。

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