2nd Edition Annex F.3,4,5
次にF.3を見てみます。F.3は「評価対象のフォールト又は故障モードの選択基準の決定」となっています。本来はFMEDAのフォールトイベントの評価として全ての故障モードを評価すべきでしょうが、それだと数千件も評価しなければならないため、本節で故障モードの絞り込みを行うのだと思われます。
ちなみに、PMHFへの寄与率を厳密に考えると、PMHFのSPF部分とDPF部分がありますが、DPF部分は故障モードの組み合わせであるため、以下は全てPMHFの値(SPF+DPF)への、故障モードのSPF部分の寄与率と言う意味となります。
- SPFまたはRFに関して、DCが90%以下の全てのフォールト又は故障モード
- PMHFの寄与率が2%以上の全てのフォールト又は故障モード
- PMHFの寄与率が上位20位以内の全てのフォールト又は故障モード
この選択基準で絞り込むと、本例ではたまたま以下の値になります。
- 2件の故障モード⇒PMHFへの寄与率は95.68%
- 2件の故障モード(上記と同じ)⇒PMHFへの寄与率は95.68%
- 20件の故障モード⇒PMHFへの寄与率は99.89%
F.5では、これらは全てPMHFへの寄与率が95%以上であるから問題無しとしています。逆にそうであるなら、直接的に
- PMHFへの寄与率が95%を超えるまでの上位からの全てのフォールト又は故障モード
とするほうが自然ではないでしょうか。ちなみにこのような絞り込み条件を設定すると、2件の故障モード⇒PMHFへの寄与率は95.68%となり、上記1.及び2.と同様2件の故障モードを分析すれば良いことになります。以下に故障モードに関してPMHFへの寄与率が大きい順にリストします。
項 | コンポーネント名 | 故障率 [FIT] |
SR? | 故障モード | 分布[%] | SM | DC[%] | λRF | PMHFへの 寄与率[%] |
PMHFへの 寄与率累積[%] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | μC | 100 | Yes | all | 50 | SM4 | 90 | 5.000 | 91.13 | 91.13 |
2 | T61 | 5 | Yes | short | 50 | SM2 | 90 | 0.250 | 4.56 | 95.68 |
従って、分析方法をまとめれば、「 PMHFへの寄与率が95%を超えるまでの上位からの全てのフォールト又は故障モード」について絞り込みを実施し、それぞれに故障モードについて、安全方策がとられているかどうかを確認することになります。このときなぜ95%以上としたのかを問われたら、2nd Edition規格Annex F.3を参照したとなります。