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故障率 (5) |
和文は英文の後に続きます。
(English text comes here.)
故障率は定数
故障率は一般には定数として扱うことが多いです。その理由は以下のグラフのように、初期故障は製造試験により取り除かれ、一方摩耗故障については運用時間を限ることで、故障率が一定とみなせるためです。
このグラフは浴槽の断面のような形をしていることからバスタブカーブと呼ばれます。
このように故障率$\lambda(t)$を一定値として扱うことが可能である場合、故障率$\lambda(t)$に関する積分は(5.1)のように簡単化されます。$\lambda(t)=\lambda (\text{const.})$より、
$$ -\int\lambda(t)dt=-\int\lambda dt=-\lambda t+C \tag{5.1} $$ よって、 $$ R(t)=e^{-\lambda t-C} \tag{5.2} $$ 一方、$R(0)=1$より、$C=0$であるためこれらを用いて、信頼度$R(t)$を表す(2.11)と不信頼度$F(t)$を表す(2.12)はそれぞれ、(5.3)及び(5.4)のように表せます。 $$ R(t)=e^{-\lambda t} \tag{5.3} $$ $$ F(t)=1-R(t)=1-e^{-\lambda t} \tag{5.4} $$
さらに故障密度関数(PDF)である$f(t)$の定義式(4.1)は、(4.4)を用いて(5.5)のように表せます。
$$ f(t)=R(t)\lambda(t)=\lambda e^{-\lambda t} \tag{5.5} $$
故障率が定数である分布は指数分布と呼ばれます。信頼性工学では他にもワイブル分布などがありますが、上記バスタブカーブの底の部分に限って議論すれば十分$\dagger$であるため、ISO26262では指数分布のみを対象とします。
$\dagger$初期故障の大部分はバーンイン等の初期不良除去プロセスで取り除くことができ、また、摩耗故障は設計寿命を車両寿命より長くすれば取り除くことができるため。