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PUA関連論文Famfulik2020 (2) |
論文$\dagger$の続きです。
筆者らの研究では、1st SMと2nd SMの間の区別が明確でないように見受けられ、SPF/RF/MPF,DP/MPF,Lを一緒に取り扱っています。本来は
- SPF/RFに分類されるフォールトは単一故障事象の確率として扱う
- MPF,DP/MPF,Lに分類されるフォールトは2点故障事象の確率として扱う
このように両者は区別して扱う必要があります。前者は1st SMにより抑止・検出されるフォールトであり、後者は2nd SMにより検出されるフォールトです。筆者はこれらの4つのフォールトをいずれも単一故障事象として加え合わせています(論文式15)。 $$ P_\text{MHF}=\frac{1}{2}\left[(\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{MPF,DP})+(\lambda_\text{RF}+\lambda_\text{MPF,L})\right] $$ 本来は2点故障(DPF)の事象の確率は二乗する必要があります。具体的にはIFの故障確率とSMの故障確率の乗算です。上の論文式(15)にはそれが漏れています。
次に、単一故障事象の修理可能性について、筆者らの解釈にはさらなる考察が必要かもしれません。
- SPFに分類されるフォールトはτにおいて全て修理されると誤解している
- RFに分類されるフォールトは一切故障修理されないと誤解している
正解から言えば、SPF/RFはいずれもシングルポイントフォールト(単一故障事象)に分類され、単一のフォールトによりVSGとなるため、修理する暇が無いため修理は全く関係ありません。ISO 26262においては修理は次ページで扱うLFのみに関係します。
SPF/RFの区分について、本来はDC(ダイアグカバレージ)が0の場合をSPFとし、DCが0でない場合をRFとしています。筆者らの区分がこの定義から逸脱している可能性があり、そのため以下の式 $$ F_\text{AVG,S}=\frac{1}{2}\tau\lambda_\text{SPF}+\frac{1}{2}T\lambda_\text{RF} $$ は誤りです。また、図742.1で示されるグラフ同じ誤りを持っています。誤りは上記のとおり
- SPF/RFとも単一故障事象であるのに、修理を前提としている点、及び
- SPF/RFの区分が本来SMの有無すなわちDCの値によるものを、修理の有無であると誤解している点です。
さらにIFの故障率とSMの故障率の区別も改善の余地が有りそうですが、敢えて区別しておらず、エレメント一般の故障率として扱い、後で1oo2の一般解を導くためのようです。
正解を故障確率で表すなら、 $$ F_\text{AVG,S}=(\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{RF})T $$ となります。いずれもIFの故障率です。なぜならSMのフォールトは単一ではVSGとならないからです。ここで$T$は車両寿命とします。
$\dagger$J. Famfulik, M. Richtar et al, "Application of hardware reliability calculation procedures according to ISO 26262 standard," Qual. Rel. Eng. Int. 2020, pp. 1-15, doi: 10.1002/qre.2625
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