Article #593

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従属故障の実例

posted by sakurai on April 10, 2023 #593

"Reliability Assessment of Safety and Production Systems"から従属故障の例を引用します。

Example 5.1 アポロ13号の月着陸船には、2つの酸素タンクが用意されていた(Jones 2016)。 1970年4月13日、1つの酸素タンクが爆発し、その爆発で2つ目の酸素タンクも破壊され、ミッションの失敗を招いた。3人のクルーは無事に地球に帰還することができた。2基目のタンクの故障はカスケード故障である。

図%%.1
図593.1

Example 5.2 1974年3月3日、パリ郊外のエルムノンヴィルの森にマクドネル・ダグラス社製飛行機DC-10が墜落した(JO 1976)。 この航空機の貨物ドアは、圧力で外側に開くように設計されていたが、圧力で各貨物扉をロックする特定のラッチ機構を備えていた。離陸後、ラッチシステムの1つが故障し、後部左の貨物ドアが開いた。客室の床の一部が飛び出した。 しかし、そのような状況でもパイロットは機体の制御を維持することができた。残念なことに、すべての冗長制御ケーブルが損傷した床の下を通っていたため、パイロットは空中で機体を制御することがでなかった。 346人が死亡した。 適切なゾーン分析が行われていれば、冗長制御ケーブルが同じ場所にあることが判明していたはずである。従って、設計を変更していれば、航空機が制御不能に陥ることはなかったはずである。

図%%.2
図593.2

Example 5.3 1979年3月28日、スリーマイル島原子力発電所の2号機で事故が発生し、炉心が一部メルトダウンした(Rogovin and Frampton 1979)。 これは、機器の不具合、設計上の問題、人為的なミスが重なった結果であった。このうち、加圧弁の位置が定期的なプルーフテスト後にずれていたことは、ヒューマンエラーによる共通原因故障の典型例と言える。人身事故はなかったが、この事故は人為的な原因による失敗の教科書的な事例として語られることが多い。このような事故が起こる確率を下げるには、オペレーターの訓練が必要である。

図%%.3
図593.3

Example 5.4 バイキング・スカイは2016年に就航したクルーズ船である(Wikipedia Viking Sky 2019)。 暴風雨警報が発令されていたにもかかわらず、トロムソからスタバンゲル(ノルウェー)に向けて2019年3月23日に1,373人を乗せた状態で航行していたところ4基のエンジンに不具合が発生した。 潤滑油の油圧が低下したことが4つのエンジンが停止した共通の原因である。 荒れたコンディションのため救助は困難であった(これも共通の原因!)。 3月24日の夜、3つのエンジンが再始動する前に、470人の乗客がヘリコプターで避難した。その後バイキング・スカイ号は再び航行できるようになった。 3人の重傷を含む16人が負傷した。 共通のユーティリティ(ここでは潤滑装置)を避けることは、故障のこのような共通原因を防ぐための良い方法である。

図%%.4
図593.4
これらの挿絵はMicrosoft EdgeのImage Creatorで作成しました。

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