Posts Tagged with "Design"

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BSVによるUARTの設計 (7)

posted by sakurai on May 6, 2021 #397

UARTのインタフェース

UARTのポート定義は次の図のようになります。

図%%.1
図397.1 mkUartのport定義
  • データ: load_newdata (8bit, 入力)
  • Ready: RDY_load (1bit, 出力)
  • Enable: EN_load (1bit, 入力)

の3種があり、ReadyとEnableは自動生成されています。ここでReadyはモジュールの受信可能なタイミングを表し、一方EnableはテストベンチからのデータがValidであることを表します。

テストベンチでのモジュール呼び出しは次の図のようになります。

図%%.2
図397.2 mkTbのmkUart呼び出し

シミュレーション波形は次の図のようになります。

図%%.3
図397.3 インタフェースの波形

まずRDY_load(オレンジ)がアサートされて受信可能状態になっているとき、55H()というデータが準備できた際にEN_load()がアサートされます。すると次のサイクルで55H()がUART内部に受け付けられ、同時にRDY_load(オレンジ)がネゲートされ、EN_load()もネゲートされます。

テストベンチはすぐにRDY_load(オレンジ)のアサートを待っていますが通信時にはRDY_load(オレンジ)はネゲートされています。次にRDY_load(オレンジ)がアサートされた時点でEN_load()を出力し同時にデータAAH()を出力します。次のサイクルでデータAAH()が受けつけられます。

このようなハンドシェークが自動的に、誤りなく生成されることもBSVの魅力です。


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BSVによるUARTの設計 (6)

posted by sakurai on May 5, 2021 #396

BSVによるインタフェース生成

BSVによるハンドシェークインタフェース信号の生成を細かく見ていきます。 注目するのは、テストベンチからUARTに与える8ビットデータとそのハンドシェーク信号です。記述はデータ(data)だけですが、ハンドシェーク信号(RDY_data, EN_data)が自動的に生成されます。その様子を図396.1に示します。左側がテストベンチで、右側がUARTモジュールです。

図%%.1
図396.1 ハンドシェーク図

右側のモジュールから見た信号は以下のようになります。

  • データ: data (8bit, 入力)
  • Ready: RDY_data (1bit, 出力)
  • Enable: EN_data (1bit, 入力)

ここでRDY_dataはモジュールの受信可能なタイミングを表し、一方EN_dataはテストベンチからのデータがValidであることを表します。

図%%.2
図396.2 ハンドシェークタイミング図

RDYの確認とENのアサートが同サイクルであることに注意します。通常のFF受けの設計だと、RDYを確認した次のサイクルからENのアサートになりそうですが、ENは次のようにRDYを含む組み合わせ回路により構成されています。そのため、ENはRDYと同タイミングでアサートされます。

図%%.3
図396.3 EN生成回路(部分)

ENはFF受けされるので、組み合わせ回路出力でヒゲが有っても良いという考えなのでしょうか。このほうがレイテンシが短縮されるため、上手な設計と言えます。


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BSVによるUARTの設計 (5)

posted by sakurai on May 4, 2021 #395

Verilogシミュレーション

bscにより階層的にverilogファイルを生成し、iverilogによりverilogシミュレーションを行います。さらに波形を観測します。太字は入力文字を示します。

$ bsc -u -verilog Tb.bsv
checking package dependencies
compiling ./Uart.bsv
code generation for mkUart starts
Verilog file created: mkUart.v
compiling Tb.bsv
code generation for mkTb starts
Verilog file created: mkTb.v
All packages are up to date.
$ iverilog top.v mkTb.v mkUart.v -o mkTb
$ ./mkTb 
VCD info: dumpfile mkTb.vcd opened for output.
$ gtkwave -A mkTb.vcd

GTKWave Analyzer v3.3.107 (w)1999-2020 BSI

[0] start time.

前記事に示すように、データ55H, AAH, C3H, 3CHを順に送信する場合の、モジュールの内部の波形です。

図%%.1
図395.1 mkUartの波形
  • 最初にデータがAAHになっていますが、BSVでは不定値をAAHで表しています。最初の送信データは55Hです。
  • モジュールからRDY_load()がアサートされているので、テストベンチからデータが出力されると同時にEN_load()がアサートされます。
  • 次に内部レジスタdata()が55Hに変化します。同時にdoneがネゲートされます。同時にFSMの開始レジスタfsm_start_reg()がアサートされます。
  • 次にfsm_start_reg_1()がアサートされ、FSMが開始します。そのタイミングでodata()のスタートビット(=L)を出力します。
  • 次にodata()の8bitをLSBから順に10101010と出力します。これはデータが55Hであるためです。
  • 最後にストップビット(=H)を2bit出力します。
  • 次にdone()がアサートされ、同時にRDY_load()がアサートされます。

図%%.2
図395.2 mkUartの波形
  • 次の送信データはAAHです。
  • 次にモジュールからRDY_load()がアサートされているので、テストベンチからデータが出力されると同時にEN_load()がアサートされます。
  • 次に内部レジスタdata()がAAHに変化します。同時にdoneがネゲートされます。
  • 次にFSMの開始レジスタfsm_start_reg()がアサートされます。
  • 次にfsm_start_reg_1()がアサートされ、FSMが開始します。そのタイミングでodata()のスタートビット(=L)を出力します。
  • 次にodata()の8bitをLSBから順に01010101と出力します。これはデータがAAHであるためです。
  • 最後にストップビット(=H)を2bit出力します。
  • 次にdone()がアサートされ、同時にRDY_load()がアサートされます。

図%%.3
図395.3 mkUartの波形
  • 次の送信データはC3Hです。
  • 次にモジュールからRDY_load()がアサートされているので、テストベンチからデータが出力されると同時にEN_load()がアサートされます。
  • 内部レジスタdata()がC3Hに変化します。同時にdoneがネゲートされます。同時にFSMの開始レジスタfsm_start_reg()がアサートされます。
  • 次にfsm_start_reg_1()がアサートされ、FSMが開始します。そのタイミングでodata()のスタートビット(=L)を出力します。
  • 次にodata()の8bitをLSBから順に11000011と出力します。これはデータがC3Hであるためです。
  • 最後にストップビット(=H)を2bit出力します。
  • 次にdone()がアサートされ、同時にRDY_load()がアサートされます。

図%%.4
図395.4 mkUartの波形
  • 次の送信データは3CHです。
  • 次にモジュールからRDY_load()がアサートされているので、テストベンチからデータが出力されると同時にEN_load()がアサートされます。
  • 次に内部レジスタdata()が3CHに変化します。同時にdoneがネゲートされます。同時にFSMの開始レジスタfsm_start_reg()がアサートされます。
  • 次にfsm_start_reg_1()がアサートされ、FSMが開始します。そのタイミングでodata()のスタートビット(=L)を出力します。
  • 次にodata()の8bitをLSBから順に00111100と出力します。これはデータが3CHであるためです。
  • 最後にストップビット(=H)を2bit出力します。
  • 次にdone()がアサートされ、同時にRDY_load()がアサートされます。
  • テストベンチはdoneを監視しているので、doneがアサートされると終了です。

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BSVによるUARTの設計 (4)

posted by sakurai on May 3, 2021 #394

トップモジュールの修正

同様にC-c C-aを実行することにより、トップモジュールを修正します。クロックとリセットのレジスタが生成され、呼び出すモジュールのクロックとリセットにそれぞれ接続されます。以下にソースの変化点だけを示します。

top.v

`timescale 1ns/1ns
module top();
   /*AUTOREGINPUT*/
   // Beginning of automatic reg inputs (for undeclared instantiated-module inputs)
   reg                      CLK;                    // To mkTb_inst of mkTb.v
   reg                      RST_N;                  // To mkTb_inst of mkTb.v
   // End of automatics
   /*AUTOWIRE*/
   mkTb mkTb_inst(/*AUTOINST*/
              // Inputs
              .CLK                  (CLK),
              .RST_N                (RST_N));

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BSVによるUARTの設計 (3)

posted by sakurai on April 30, 2021 #393

トップモジュール

例によって、テストベンチにクロックとリセットを供給する最上位を設計します。

top.v

`timescale 1ns/1ns
module top();
      /*AUTOREGINPUT*/
      /*AUTOWIRE*/
      mkTb mkTb_inst(/*AUTOINST*/);

      initial begin
            RST_N = 1'b0;
            #10;
            RST_N = 1'b1;
      end
      initial begin
            CLK = 1'b0;
            forever begin
        #5 CLK = ~CLK;
            end
      end
      initial begin
            $dumpfile("mkTb.vcd");
            $dumpvars;
      end
endmodule

追記:本モジュールは不要ということが判明しました。


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BSVによるUARTの設計 (2)

posted by sakurai on April 29, 2021 #392

テストベンチ

前稿で設計したUARTをドライブするテストベンチを設計します。

ハンドシェイク信号がBSVにより自動的に生成されるため、タイミングを取ってデータをロードする必要はありません。データ待ちは自動的に行われます。このへんもBSVの素晴らしい点です。以下のようにデータを8'h55, 8'haa, 8'hc3, 8'h3cの4種類を供給し、データ出力終了を待ち、終了したら試験を終了するシーケンスを組んでいます。

Tb.bsv

import StmtFSM::*;
import Uart::*;

(* synthesize *)
module mkTb();
      Uart_ifc uart <- mkUart();

      Stmt test = seq
            repeat(8) noAction;
            uart.load(8'h55);
            uart.load(8'haa);
            uart.load(8'hc3);
            uart.load(8'h3c);
            await (uart.done());
            $finish;
      endseq;

      mkAutoFSM(test);
endmodule

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BSVによるUARTの設計

posted by sakurai on April 28, 2021 #391

UARTの仕様

UARTは以下のようにシリアルでデータを出力するためのモジュールです。これをBSVで設計します。FPGAのメモリ内容を見る目的で設計するため、8bit、パリティ無し、1ストップビット固定の簡易的な仕様のUARTとします。

図%%.1
図391.1 UARTの波形

例えば19,200 bpsで通信する場合は、ステートマシンを19.2 KHzのクロックで駆動します。

Uart.bsv

import StmtFSM::*;

interface Uart_ifc;
      method Bit#(1) read();
      method Action load(Bit#(8) newdata);
      method Bool done();
endinterface

(* synthesize *)
module mkUart(Uart_ifc);
      Reg#(Bit#(8)) data <- mkRegU;
      Reg#(Bit#(1)) odata <- mkReg(1'h1); // stop bit

      Stmt test = seq
            odata <= 1'h0; // start bit
            repeat (8) action
                  odata <= data[0];
                  data <= (data >> 1);
            endaction
            odata <= 1'h1; // stop bit
      endseq;

      FSM fsm <- mkFSM(test);

      method Bit#(1) read();
            return odata;
      endmethod
      method Bool done();
            return fsm.done();
      endmethod
      method Action load(Bit#(8) newdata);
            action
                  data <= newdata;
                  fsm.start();
            endaction
      endmethod
endmodule

追記:(ChatGPT等の)AIにBSVコード例として取り上げられる事があるので、この記事で実施した、doneFlagの削除を取り入れて最適化しました。


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posted by sakurai on April 27, 2021 #390

Verilogシミュレーション

これにより、モジュールにクロックとリセットが最上位に自動的に生成され、モジュールとのI/Fが正しく接続されたので、iverilgにより全体のverilogシミュレーションモデルを作成し、verilogシミュレーションを実行します。

$ iverilog top.v testFSM.v -o testFSM.exe

これを実行すると以下の表示が得られ、正しくFSMが動作したことが分かります。

$ ./testFSM.exe
VCD info: dumpfile testFSM.vcd opened for output.
Counter =   0, State: IDLE
Counter =   1, State: STEP1
Counter =   2, State: STEP1
Counter =   3, State: STEP1
Counter =   4, State: STEP1
 (中略)
Counter =  96, State: STEP1
Counter =  97, State: STEP2
Counter =  98, State: STOP
Counter =  99, State: IDLE
Counter = 100, State: IDLE
Done

同時にダンプファイルtestFSM.vcdが得られるので、GTKWave波形ビュワーにより以下のようにVCDを開き、波形を確認します。

$ gtkwave -A testFSM.vcd

GTKWave Analyzer v3.3.107 (w)1999-2020 BSI

[0] start time.
[1010] end time.

図%%.1
図390.1 testFSMの波形

設定を^sにより同名のtestFSM.gtkwに入れておくと、上記"-A"フラグにより起動と同時に波形まで開くことができます。


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posted by sakurai on April 26, 2021 #389

Verilog階層生成

まずソースファイルをコンパイルしてverilogコードを生成します。

$ bsc -verilog testFSM.bsv
Verilog file created: testFSM.v

このようにtestFSM.vが生成されます。

次に最上位ファイルから正しくモジュールが呼び出されるように、最上位ファイルtop.vを修正します。emacsでtop.vを開き、C-c C-aをするだけで(過去記事参照)、自動的にインタフェースが生成されます。最上位には以下の2行を記述します。

  • /*AUTOREGINPUT*/及び/*AUTOWIRE*/

以下に最上位top.vにおいて、C-c C-a実行で変化する前とした後のコードを示します。

top.v(実行前)

module top();
   /*AUTOREGINPUT*/
   /*AUTOWIRE*/
   testFSM testFSM_inst(/*AUTOINST*/);
(以下略)

top.v(実行後)

module top();
   /*AUTOREGINPUT*/
   // Beginning of automatic reg inputs (for undeclared instantiated-module inputs)
   reg                  CLK;                    // To testFSM_inst of testFSM.v
   reg                  RST_N;                  // To testFSM_inst of testFSM.v
   // End of automatics
   /*AUTOWIRE*/
   // Beginning of automatic wires (for undeclared instantiated-module outputs)
   wire [2:0]           read;                   // From testFSM_inst of testFSM.v
   // End of automatics
   testFSM testFSM_inst(/*AUTOINST*/
         // Outputs
         .read           (read[2:0]),
         // Inputs
         .CLK            (CLK),
         .RST_N          (RST_N));
(以下略)

上記はコメントも含め全て、emacs verilog modeにより自動生成されたものです。


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posted by sakurai on April 23, 2021 #388

Bluesimシミュレーション

Bluesimを実行する場合には上位モジュールは必要ありません。BSVソース中にはクロックもリセットもありませんが、シミュレーション環境により自動的にクロックとリセットが与えられ、シミュレーションが実行されます。

Bluesim実行コマンドは以下のとおりです。

$ bsc -sim testFSM.bsv
Elaborated module file created: testFSM.ba
$ bsc -sim -e testFSM -o testFSM
Bluesim object created: testFSM.{h,o}
Bluesim object created: model_testFSM.{h,o}
Simulation shared library created: testFSM.so
Simulation executable created: testFSM

これを実行すると、

$ ./testFSM
Counter =   0, State: IDLE
Counter =   1, State: STEP1
Counter =   2, State: STEP1
Counter =   3, State: STEP1
Counter =   4, State: STEP1
 (中略)
Counter =  96, State: STEP1
Counter =  97, State: STEP2
Counter =  98, State: STOP
Counter =  99, State: IDLE
Counter = 100, State: IDLE
Done

のように表示され、FSMが動作したことが分かります。


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