Posts Issued in November, 2018

posted by sakurai on November 30, 2018

前回の続きです。

設計制約

設計制約をリストアップします。

  • LRCLKの1周期に対し、L=16bit, R=16bitの32bitのシリアルデータが必要であり、シリアルデータはSCKでシフトされるので、SCK=LRCLK*32。ただしこのSCKは、DACに供給しなければDAC内部で発生されます。
  • データフォーマットより、サンプリングレートは16進数で16'h2b11=11025、すなわち11.025KHz。LRCLK=Fs(サンプリング周波数)とのことで、LRCLK=11.025KHzとしたいところですが、下図において、LRCLK=11.025KHzが存在しないので、データのほうを4倍のインターポレーションすることにし、LRCLK=44.1KHzとします。
  • 上記関係式よりSCK=1.4112MHz。
  • マスタークロック(MCLK)は下図のように、256, 384, 512, 768, 1024倍等の任意性がありますが、ここでは256倍の11.2896MHzを使用します。

図74.1
図74.1クロック表

タイミングチャート

クロックに関する設計制約がだいたい解決したので、タイミングチャートを書いていきます。基本的にハードウェアベースのサウンド出力であるため、FSMによるフォーマット解析を行います。タイミングチャートは以下のとおりです。

図74.2
図74.2 タイミングチャート

ステートマシンのクロックFSMCLKは図74.2のように、ステートアドレス、ステートデータ、データアドレス、データデータの4クロックで1サウンドデータの読み出しになることから、SCLK=8*FSMCLK、これよりFSMCLK=176.4KHz。

DACが要求する16bitデータ×2ch(L, R)の32bitデータについては、データソースが8bitモノラルであるため、8bitデータをMSB側に詰め、残りは0詰めし、16bitとします。LとRには同じデータを供給します。

インタポレーションのやり方は線形補完する方法と、同じデータを繰り返す方法がありますが、もともと16bit@44.1KHz表現可能なDACに対して8bit@11.025KHzという荒い音質であることから、同じ32bitデータを4回繰り返すことにします。

以上で設計制約から来るクロック周波数とタイミングチャートが確定したので、これに基づいてFSMを設計します。


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posted by sakurai on November 12, 2018

例えば非対称冗長構成サブシステムにPMHFの値は2つあるのでしょうか。

まず非対称冗長構成サブシステムを説明します。ここで非対称とは故障率の数値のことであり、RBDとしては機能的に対称です。2つのチャネルがあり、お互いに主機能、安全機構の役割を果たすもので、機能的に対称ですが、2つのチャネルの故障率に大小があり、数値的には非対称となっています。

具体的にみてみましょう。図のヘッドライト回路において、マイコンとトランジスタスイッチの両方からヘッドライトを点灯する機能があるとします。両者ともコンビネーションスイッチ情報を読み込み、点灯するものとします。さて、この場合、どちらが主機能でどちらが安全機構でしょうか?

図70.1
図70.1 非対称冗長システム例

この場合は冗長構成であるため、両方とも主機能となります。両方ともヘッドライト点灯という主目的をはたしているからです。一方で両方とも安全機構です。他方がフォールトしたときに、ライト消灯という、システムとしての機能喪失を抑止するためです。すると、PMHFの計算において困難が生じます。PMHF規格第1式は主機能、安全機構に関して非対称であるためです。マイコンのほうが故障率が一桁大きいので、どちらを主機能とするかでPMHFに2つの値があるよう思えます。

1st Editionに沿って説明します。2つのエレメント主機能(M)、安全機構(SM)から構成されるサブシステムのPMHFは、MのフォールトによるVSGを考えるとPMHF規格第1式となります。一方でSMのフォールトによるVSGの場合を加え合わせればPMHF規格第3式となります。従って、非対称冗長構成サブシステムがあるとき、片方のみを考えてPMHF規格第1式を適用するからPMHFが2つあると誤解を生じてしまうわけです。M, SM双方によるDPFを考えるためには、本来はPMHF規格第3式を使用するべきです。PMHF規格第3式はPMHF規格第2式の近似でもあったので、その元になる(65.3)式を再掲すれば、

$$M_{PMHF}\approx\lambda_{M,RF}+\lambda_{M,DPF}(\lambda_{SM,DPF,lat}T_{lifetime}+\lambda_{SM,DPF,det}\tau_{SM})\tag{65.3} $$

おや?M, SMに関して対称となっていませんね。故障率は非対称であっても機能的に対称であれば、式は対称、つまりMとSMを入れ替えても同じ式となるはずです。

これを含めると2つの問題が存在しているようです。

  1. PMHF規格第1式のみでサブシステムのPMHFを評価する
  2. 冗長構成を表すPMHF規格式は、M, SMに対して非対称

PMHF規格第3式を用いることで1.は解決しますが、2.が解決されません。

2nd Editionでは、1st EditionのPMHF規格第3式の「順番によらない場合」(=主機能によるVSG及びSM1によるVSGの両方)について初めから考慮されているので、1st Editionのような誤解は生じないと思います。つまり1.は解決されていますし、2.も表面的にはM, SM対称となっているので解決されているように見えます。

1.の問題に関して言えば、どちらかを主機能と勝手に見るのは、設計意図ではあるものの、モノは設計意図どおり故障しません。従ってサブシステムが車両寿命間にダウンする確率の時間平均であるPMHFが2種類あるはずがありません。

2.の問題に関して言えば、PMHF規格式は1st Edition, 2nd Edition共、冗長構成を正しく考慮できていないため、PMHF規格式の適用には問題があります。1st Editionに関しては、これは論文で取り上げた問題ですが、PMHF規格第3式は主機能と安全機構に関して対称となっていません。本来は対称となるはずです。2nd Editionで表面上は対称となりましたが、既述のとおりある問題が残っています。つまり問題は3つあったのでした。


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posted by sakurai on November 5, 2018

デュアルポイントフェイリャ

次にDPFについて、弊社が考える式とどこが相違しているかを見ていきます。

まず、SMがVSGとならない場合のパターン1式は特定条件(※1)でのみ合っています。この条件は1st Edition規格第1式とも同じです。次にパターン2は特定条件(※1)において前述のように2倍だけ異なっています。この2倍の理由は不明です。
※1 $K_{IF,lat}=0\cap K_{SM1,det}=1$の場合。これを言い換えると、IFはVSGの可能性があるが修理不可能、かつ、SM1はVSGの可能性無しで修理可能。

さらにパターン3、4式は特定条件(※2)でのみ合っています。単にパターン1, 2をひっくり返した(IFとSM1を入れ替えた)式のように見えます。
※2 $K_{SM1,lat}=0\cap K_{IF,det}=1$の場合。これを言い換えると、SM1はVSGの可能性があるが修理不可能、かつ、IFはVSGの可能性無しで修理可能。

これは以下の条件からくるものと推測します。以下は2nd Edition Part10 8.3.2.3 Table 2の引用です。

表69.1
First fault:SM1⇒Second fault:IF First fault:IF⇒Second fault:SM1
Cannot notify the driver Pattern 1 Pattern 3
Can notify the driver Pattern 2 Pattern 4

つまり、Pattern1及び2はIFフォールトによるVSGであり、SM1は修理系、IFは非修理系を仮定しています。 一方、Pattern3及び4はSM1フォールトによるVSGであり、Pattern1及び2のIF/SM1を入れ替えたものとなっているところから推測すればIFは修理系、SM1は非修理系を仮定しています。

いずれも最初のフォールトが起きるエレメントは、upしたりdownしたりを繰り返しても良いのですが(=修理可能という意味)、2番目にフォールトが起きるエレメントは本来同様のはずが、2番目にdownすることしか許されていません。これは非修理系を意味します。つまり後からフォールトするエレメントの定義を誤っています。このことは言葉の定義だけで理解されるものではなく、その仮定から導出された1st Editionの式の意味まで考えて初めて理解されることです。

いずれにしろ、この前提はIFもSM1も$t=0$において修理系という一般的なサブシステムに対して、強い制約をかけることになるだけでなくPMHFの過小評価につながります。従って、この式を受け入れることはできません。

弊社が考えるPMHFの一般式

IFとSM1が$t=0$において修理系という条件で、マルコフ状態遷移図を書き、確率微分方程式を立て積分してADRを算出した式において、Edition 1の方法で上界を求めた式は、 $$ M_{PMHF}=\lambda_{IF,RF}+\lambda_{SM1,RF}+\left[\img[-1.35em]{/images/withinseminar.png}\right]\tag{69.1} $$ となります。

規格の式(図68.1)は、特殊状況のみを数え上げた、※1または※2のみで成立する式です。


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