Article #70

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posted by sakurai on November 12, 2018

例えば非対称冗長構成サブシステムにPMHFの値は2つあるのでしょうか。

まず非対称冗長構成サブシステムを説明します。ヘッドライト回路において、マイコンとトランジスタスイッチの両方からヘッドライトを点灯する機能があるとします。両者ともコンビネーションスイッチ情報を読み込み、点灯するものとします。さて、この場合、どちらが主機能でどちらが安全機構でしょうか?

図70.1
図70.1 非対称冗長システム例

この場合は冗長構成であるため、両方とも主機能となります。両方ともヘッドライト点灯という主目的をはたしているからです。一方で両方とも安全機構です。他方がフォールトしたときに、ライト消灯という、システムとしての機能喪失を抑止するためです。すると、PMHFの計算において困難が生じます。PMHF規格第1式は主機能、安全機構に関して非対称であるためです。マイコンのほうが故障率が一桁大きいので、どちらを主機能とするかでPMHFに2つの値があるよう思えます。

1st Editionに沿って説明します。2つのエレメント主機能(M)、安全機構(SM)から構成されるサブシステムのPMHFは、MのフォールトによるVSGを考えるとPMHF規格第1式となります。一方でSMのフォールトによるVSGの場合を加え合わせればPMHF規格第3式となります。従って、非対称冗長構成サブシステムがあるとき、片方のみを考えてPMHF規格第1式を適用するからPMHFが2つあると誤解を生じてしまうわけです。M, SM双方によるDPFを考えるためには、本来はPMHF規格第3式を使用するべきです。PMHF規格第3式はPMHF規格第2式の近似でもあったので、その元になる(65.3)式を再掲すれば、

$$M_{PMHF}\approx\lambda_{M,RF}+\lambda_{M,DPF}(\lambda_{SM,DPF,lat}T_{lifetime}+\lambda_{SM,DPF,det}\tau_{SM})\tag{65.3} $$

おや?M, SMに関して対称となっていませんね。これを含めると2つの問題が存在しているようです。

  1. PMHF規格第1式のみでサブシステムのPMHFを評価する
  2. 冗長構成を表すPMHF規格式は、M, SMに対して非対称

PMHF規格第3式を用いることで1.は解決しますが、2.が解決されません。

2nd Editionでは、1st EditionのPMHF規格第3式の「順番によらない場合」(=主機能によるVSG及びSM1によるVSGの両方)について初めから考慮されているので、1st Editionのような誤解は生じないと思います。つまり1.は解決されていますし、2.も表面的にはM, SM対称となっているので解決されているように見えます。

1.の問題に関して言えば、どちらかを主機能と勝手に見るのは、設計意図ではあるものの、モノは設計意図どおり故障しません。従ってサブシステムが車両寿命間にダウンする確率の時間平均であるPMHFが2種類あるはずがありません。

2.の問題に関して言えば、PMHF規格式は1st Edition, 2nd Edition共、冗長構成を正しく考慮できていないため、PMHF規格式の適用には問題があります。1st Editionに関しては、これは論文で取り上げた問題ですが、PMHF規格第3式は主機能と安全機構に関して対称となっていません。本来は対称となるはずです。2nd Editionで表面上は対称となりましたが、既述のとおりある問題が残っています。つまり問題は3つあったのでした。


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