Posts Tagged with "DPF"

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DPF(2)

posted by sakurai on July 9, 2016

DPFの定義

ISO26262でいうDPFは、前述のように、まずエレメントAの故障がおき、かつレイテント状態(故障分類(1)で解説)になっていて、それに関連するエレメントBの故障が引き続いて起きた場合が対象となります。ここで関連するとは、エレメントAが主機能の場合はエレメントBは安全機構、エレメントAが安全機構の場合はエレメントBは主機能という意味です。主機能とそれとは別の主機能の故障はDPFとは考えず、一点故障が2回起きたと考えます。

さて、DPFの確率計算を行う場合、単純に主機能故障の起きる確率$PoF_{M,T_{lifetime}}=\Pr\{X_M\lt T_{lifetime}\}$と安全機構の故障の起きる確率$PoF_{SM,T_{lifetime}}=\Pr\{X_{SM}\lt T_{lifetime}\}$の乗算とはなりません。一般に安全機構が故障するとレイテントになる可能性が大であり、主機能は冗長構成を取らない限り、故障してレイテントになることはありません。従って、主機能故障がレイテントになる確率と安全機構がレイテントになる確率は異なるため、主機能と安全機構のどちらが先に故障したかで場合を分けて計算を行います。

A⇒BのDPFの確率計算

エレメントAが故障してレイテント状態になっている場合にエレメントBが故障する確率の導出を行います。まず、時刻$t$において、エレメントAが故障してレイテントとなっている場合の確率は、時刻$t$におけるエレメントAの不信頼度に他ならないため、(14.1)となります。 \[ \Pr\{\text{A is a latent state at }t\}=\Pr\{X_A\leq t\}=F_A(t)\tag{14.1} \]

次に、時刻$t$までエレメントBは故障しておらず、時刻$t+\Delta t$までの微小区間$(t, t+\Delta t]$にBが故障する微小確率$\Pr\{\text{B receives a fault in}(t, t+\Delta t]\}$は、(14.2)となります。 \[ \Pr\{\text{B receives a fault in}(t, t+\Delta t]\}=\Pr\{t\lt X_B\leq t+\Delta t\}=F_B(t+\Delta t)-F_B(t)\\ =f_B(t)\Delta t=\lambda_B R_B(t)\Delta t\tag{14.2} \]

従って、$(t, t+\Delta t]$の微小DPF確率は両者の積となるため、(14.3)となります。

式49(14.3)

$\Delta t\rightarrow 0$とした極限を$dt$で表し、0から$t$まで積分すると、時刻$t$までのDPF確率が(14.4)として求められます。

式77(14.4)

ここでexponential関数のマクローリン展開は(14.5)です。 \[ e^x=1+x+\frac{x^2}{2}+\cdots\tag{14.5} \]

(14.5)の2次の項までとり(14.3)に代入すれば、(14.6)のようにA⇒BのDPFの確率の近似式が求められます。

A⇒BのDPFの確率の式:

式79(14.6)

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DPF(1)

posted by sakurai on June 24, 2016

信頼度と故障率の関係式

DPF(Dual Point Failure; 2点故障)を説明する前に、時刻$t$から時刻$t+\Delta t$までの時間にエレメント$A$に関して起こる故障について、図13.1に示します。

fig13.1
図13.1 エレメントAに関して起こる故障

時刻$t$において、故障していない確率が$R_A(t)$であり、時刻$t+\Delta t$までの$\Delta t$時間における信頼度$R_A(t)$の減少分は、(2.6)から$\lambda_A R_A(t) \Delta t=f_A(t)\Delta t$となることから、

\[ R_A(t+\Delta t)=R_A(t)-\lambda_A R_A(t) \Delta t\tag{13.1} \]

DPFを考えるためにエレメント$A$とエレメント$B$の故障を考えます。エレメント$A$,$B$の故障は独立して起こるので、以下のようになります。

fig13.2
図13.2 エレメントA及びBに関して起こる故障

DPF

さて、次にエレメント$A$,$B$が有り、$A$が主機能の場合は$B$はそれに関する安全機構、$A$が安全機構の場合は$B$はそれに関する主機能であるとします。DPFの定義は

主機能または安全機構が故障してレイテント状態であるときに、それに関する安全機構または主機能の故障が起きること

であるため、「エレメントAが故障してレイテント状態であるときに、エレメントBの故障が起きること」を$A\Rightarrow B$で表し、「エレメントBが故障してレイテント状態であるときに、エレメントAの故障が起きること」を$B\Rightarrow A$で表すとき、以下の図13.3のように、どちらが先に故障するかによって、$A\Rightarrow B$または$B\Rightarrow A$の2つの場合となります。また、それらは排他であるため確率は和で表されます。

fig13.3
図13.3 片方がレイテント状態であるときに、他方の故障


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