Posts Issued on April 21, 2019

2nd EditionにおけるPMHF式(3)

posted by sakurai on April 21, 2019

前記事の続きです。

弊社の考えるPMHF式について、再度DPFについて考察します。

2nd Editionから引用したシステムアーキテクチャ図を図98.1に示します。IFがVSGとなるのを抑止する(抑止確率$K_{\mathrm{IF,RF}}$)のと同時に、IFがレイテントとなるのを抑止する(抑止確率$K_{\mathrm{IF,MPF}}$)SM1が存在します。また、SM1がレイテントとなるのを抑止する(抑止確率$K_{\mathrm{SM1,MPF}}$)SM2が存在します。

図98.1
図98.1 System Architectural Design of the example

(1st Editionの)規格第1式のPMHF式のDPF項は以下の(98.1)のとおりです。規格第1式が合っていることは前記事で確認しています。ここで、第1式の条件は、最初のSM1のフォールトはリペアラブル、2番目のIFのフォールトはアンリペアラブルです。 $$ M_{PMHF,DPF}=\frac{1}{2}K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}\lambda_{\mathrm{SM1}}[(1-K_{\mathrm{SM,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{SM,MPF}}\tau_{\mathrm{SM1}}]\tag{98.1} $$ これをIFとSMのそれぞれに関係する部分に分解します。SM1のレイテント確率が平均 $$ \frac{1}{2}\lambda_{\mathrm{SM1}}[(1-K_{\mathrm{SM,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{SM,MPF}}\tau_{\mathrm{SM1}}] $$ あるところに、IFの故障確率が $$ K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}T_{lifetime} $$ であり、そのDPF確率積について、車両寿命$T_{lifetime}$で割ったものと解釈できます。

正規に求めれば、前記事のようにマルコフ遷移図をきちんと書いて、それぞれの場合に分けて求めることが王道ですが、ここでは簡略的な求め方を実施してみます。

システム全体(IFとSM1の合体)で考えると、IFの故障率が$K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}$、SM1の故障率が$\lambda_{\mathrm{SM1}}$であるときに、合体システムの故障率は $$ \lambda_{合体}=K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}+\lambda_{\mathrm{SM1}} $$ となります。ここで、IFの故障率を$\lambda_{\mathrm{IF}}$ではなく、$K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}$としたのには理由があり、IFにとっての故障率は$\lambda_{\mathrm{IF}}$ですが、そのうち、SM1でVSG抑止できない部分の故障率を$(1-K_{\mathrm{IF,RF}})\lambda_{\mathrm{IF}}$、VSG抑止された部分の故障率を$K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}$と分解したとき、DPFとなるのは後者の部分のみだからです。

話を戻して、合体システムのフォールトを考えると、1点フォールト目まではリペアラブルであり、合体システムのフォールトが検出されない場合は車両寿命まで、検出されても$\tau$以内の時間間隔ではレイテント状態となります。それが修理されてしまえば、最初に戻ります。が、フォールトが起きている状態で、引き続いて2点目のフォールトが起きるとDPFとなります。よって、合体システムの最初のフォールトはリペアラブル、2番目のフォールトはアンリペアラブルとなります。従って、(98.1)を参考にすれば、合体システムの最初のフォールトの平均レイテント確率が $$ \frac{1}{2}\lambda_{合体}[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\tag{98.2} $$ となり、引き続くフォールト確率が $$ \lambda_{合体}T_{lifetime}\tag{98.3} $$ となることから、その確率積を車両寿命$T_{lifetime}$で割り、 $$ M_{\mathrm{PMHF,DPF}}=\frac{1}{2}(\lambda_{合体})^2[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\tag{98.4} $$ となりそうです。ここで$K_{\mathrm{合体,MPF}}$をSM1もしくはSM2によるいずれかで検出する検出確率とします。すなわち、 $$ K_{\mathrm{合体,MPF}}=K_{\mathrm{IF,MPF}}+K_{\mathrm{SM1,MPF}}-K_{\mathrm{IF,MPF}}K_{\mathrm{SM1,MPF}} $$ ただ、これでは確率を多めに見て過ぎています。余分な確率が2例含まれています。というのは、合体システムが2度フォールトする時に、①IFに引き続いてIF、及び②SM1に引き続いてSM1となる、2つの場合はDPFとならないため、その確率を差し引く必要があります。

すると、①の確率積は、 $$ \frac{1}{2}K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\cdot K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}T_{lifetime}\cdot\frac{1}{T_{lifetime}}\\ =\frac{1}{2}K_{\mathrm{IF,RF}}^2\lambda_{\mathrm{IF}}^2[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\tag{98.5} $$ また②の確率積は、 $$ \frac{1}{2}\lambda_{\mathrm{SM1}}[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\cdot\lambda_{\mathrm{SM1}}T_{lifetime}\cdot\frac{1}{T_{lifetime}}\\ =\frac{1}{2}\lambda_{\mathrm{SM1}}^2[(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\tag{98.6} $$ 従って、PMHFのDPF部分は、(98.4)から(98.5)及び(98.6)を差し引いて、 $$ M_{\mathrm{PMHF,DPF}}=\frac{1}{2}[(\lambda_{合体})^2-(K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}})^2-\lambda_{\mathrm{SM1}}^2][(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\\ =\frac{1}{2}[(K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}}+\lambda_{\mathrm{SM1}})^2-(K_{\mathrm{IF,RF}}\lambda_{\mathrm{IF}})^2-\lambda_{\mathrm{SM1}}^2][(1-K_{\mathrm{合体,MPF}})T_{lifetime}+K_{\mathrm{合体,MPF}}\tau]\\ =\img[-1.35em]{/images/withinseminar.png} \tag{98.7} $$ これは前記事で求めた、PMHF値のDPF項と完全に一致します。このように、得られた方程式に対して、別の角度から整合性のある解釈ができることは、大変に面白いと思いますし、得られた方程式の妥当性を裏付けるものと考えます。


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