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posted by sakurai on January 28, 2019 #82

3D化による検討

基板と部品の配置を行うために3D化をします。これにより部品どうしの干渉などが発見できます。そのためには3D CADと3D部品が必要ですが、ここでは無償で使用可能なSketch Upを使用してみました。さらにEAGLEからSketch UPへのプラグインが必要となります。

そのプラグインの場所はここです。 https://eagleup.wordpress.com/

ImageMagickを入手してパスを記録しておいてください。ImageMagickのインストール時には、レガシーツール(convert.exe等)もインストールするように、チェックしておいてください。

EAGLEのULP->Browseをクリックし、EagleUpを実行します。最初の一度だけパスを表示する画面が出るので、必要な情報を入力します。

図82.1
図82.1 EAGLE内からEagleUpを実行

EAGLEからULPを開き、EagleUPを実行すると、SketchUpのプラグインで読み込む情報(.eupファイル)が生成されます。SketchUpを立ち上げ、プラグインを実行し、今作成された.eupファイルをロードしたものが図82.2です。ただし部品が一部未搭載です。

図82.2
図82.2 SketchUp内からEagleUpを実行

レンダリングしたものを図82.3に示します。ただし部品が一部未搭載です。

図82.3
図82.3 レンダリングしたボードイメージ

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posted by sakurai on January 27, 2019 #81

プロトタイプボード

以前UltraZedボードに実装したスペースインベーダーを移植します。

Ultra96にはPMODインタフェースが無いため、PMODインタフェースを持つVGAインタフェースボードI2Sインタフェースボードを接続するためのインタフェースボードを作成します。

仕様

Ultra96にPMOD仕様カードを接続するために、PMODコネクタだけでなく、レベル変換ICを搭載します。PMODは3.3V電源が標準ですが、Ultra96の低速インタフェースは1.8V電源であるため、1.8V⇐⇒3.3Vレベル変換ICが必要です。さらにUltraZedにも接続可能なように設計します。もともとUltraZedはPMODインタフェースが搭載されているので、論理的な意味は無いのですが、PMODカードが複数あり、抜き差しする手間を減らすために、共用にしてみました。

サプライヤ

プロトタイプボードを作成する場合には、これもひと昔前はワイアラッピングやハンダ付けで作成したものですが、最近では10ドル以下で5枚程度のPCBを作成できる工場が現れてきました。これだとユニバーサル基板で作成したほうが高くつくくらいです。送料は別として、

https://www.pcbway.com/⇒基板10枚で5USD
https://www.fusionpcb.jp/⇒基板10枚で4.9USD
https://www.boktech.cc/⇒基板5枚で1USD
https://jlcpcb.com/⇒基板10枚で2USD

Boktechはなんと5枚製造して1ドルという、ユニバーサル基板よりも安い金額ですが、送料が別途20ドル程度かかるので、今回はFusion PCBにしてみました。10枚製造して送料込みで7.9ドルです。

PCB設計ツール

PCB設計ツールも無償のものがあり、無償の範囲で十分実用的なPCBが設計できます。今回はEAGLEというPCB設計ツールをインタフェースボードの設計に使用してみました。

図81.1
図81.1 EAGLE設計画面

PCB製造業者とはGarberフォーマットのファイルでインタフェースしますが、設計が完了したレイアウトデータをビュワーにかけたものが図81.2です。

http://mayhewlabs.com/webGerber/

図81.2
図81.2 基板イメージ

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posted by sakurai on January 24, 2019 #80

Ultra96

Avnetから画期的なZynq UltraScale+ FPGA評価ボードが発売されたので入手しました。何が画期的かというと、搭載されているチップが20nm先端プロセス、ARM A53×4コア、R5×2コアを搭載したFPGA評価ボードが、従来20万円以上したいわばプロ用の評価ボードが約3万円という、アマチュアにも手が届く価格になったことです。同じチップを搭載しているボードの過去記事はhttp://fs-micro.com/post/show/id/39.htmlです。また、インベーダゲームを実装した記事はhttp://fs-micro.com/post/show/id/52.htmlであり、同じチップであることから、簡単に実装可能と思われます。

開発ツールも無償のWebpackという論理合成、シミュレーション、配置配線全部入りのツールが使えるので、ひと昔前の設計現場では考えられない素晴らしい環境となりました。LSIのEDA、特に配置配線等では数千万円するものもあったのです。

図80.1
図80.1 Avnet Ultra96評価ボード

メーカサイト:
http://zedboard.org/product/ultra96

拡張インタフェース

以前に設計したグラフィックディスプレイコントローラとサウンドコントローラを、本Ultra96ボードのFPGAに実装します。

図80.2
図80.2 Ultra96評価ボード低速インタフェース

問題点としては、図80.2に黄色で示すように汎用GPIOが16本しかなく、グラフィック系だけでも各色4bit×3原色=12bitあり、他にサウンド系4bit、スイッチ系で4bitと少々オーバーします。幸いグラフィクスは各色4bitも使用していないので、各色1bit×3原色=3bitとして本数を減らすことにします。

目的

掲載予定のアプリケーションを示します。

図80.3
図80.3 掲載予定のアプリケーション

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posted by sakurai on January 16, 2019 #79

デジタル的に出力すればOKのグラフィック系と異なり、アナログであるオーディオ系は正しく動作させるのに案外苦労が必要でした。これだけでなく、リアルタイム性やノイズ防止の考慮を含めるともっと大変でしょう。

出来上がったサウンド系階層のブロック図を図79.1に示します。これはソフトマクロで、中にステートマシン、サウンド格納用ROM、パラシリ変換ユニットから構成されます。

図79.1
図79.1 サウンド系階層ブロック図

基本的に左側のステートマシンが、外部から与えられた音色コードに従い、右上のサウンド格納用ROMから8bitPCM wave情報を読み出し、それを右下のパラシリ変換ユニットを用いてDAC用シリアルデータに変換します。

サウンドの難しい点は演奏終了以前に割込みが入ったらどうする等の、時間的な仕様を定義するところです。本来は同時発声チャネルを複数用意し、サウンドを重ね合わせれば良いはずですが、今回は優先順位表(図79.2)を作成し、優先度の高いサウンドが、演奏中の優先度の低いサウンド演奏を中断させる仕様としてみました。優先度の高いサウンドを待たせるとおかしくなるためです。例えばインベーダの移動音が、弾の発射音を中断させても違和感を感じます。マスキング効果を考えれば、重畳しなくても特に問題ないことが実験により判明しました。

図79.2
図79.2 サウンド優先順位表

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posted by sakurai on January 6, 2019 #78

ここでアナログ波形をDSOで取得してみます。図78.1のような波形が取得されました。青がシリアルDACデータ、黄色がDACの出力のアナログ波形です。

図78.1
図78.1 DSOアナログ波形

一方で、サウンドデータをAudacityで開いてみると、図78.2のような低音の波形となっています。これはインベーダの進行音です。

図78.2
図78.2 Wave波形

シミュレーション波形やwaveデータ波形は図78.2のようであり、アナログ波形はこのようでなければならないはずなのですが、図78.1ではある閾値以上と以下で波形が折り返されているようです。ここで思いつくのがMSBが反転しているのではないかということです。ここまではwaveデータをそのままDACに入力すれば良いと思っていたので、データ構造を調べてみます。すると、以下の事がわかりました。

  • 8bitPCMデータは符号なし
  • 16bitPCMデータは符号付き

従って、パラシリ部で8bitから16bitへ伸長する際にLSBへのゼロ詰めだけではなく、符号なし⇒符号付き変換を実施しなければなりません。ハードウェアにMSBを反転する修正を加えたところ、図78.3のような正しいアナログ波形が得られました。

図78.3
図78.3 DSOアナログ波形

破裂音はロウパスフィルターが入っていないことだと考えていましたが、波形を見て一目瞭然、符号付き⇒符号なしの変換が抜けていたことが根本原因でした。これで音楽データであってもきれいに再生できるはずです。


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posted by sakurai on December 28, 2018 #77

破裂音原因解析

シミュレーション波形を確認すると、アナログ波形がなんだか尖っています。アナログとデジタルの一致性が必要で、そのためにはサンプリング周波数の1/2以上の周波数をカットする必要があります(標本化定理)。

図77.1
図77.1 シミュレーション波形

周波数帯域を制限するには22.05KHz以上をカットするロウパスフィルターを入れる必要がありますが、まずDACチップのデータシートの参考回路図を確認します。

図77.2
図77.2 DACデータシート

図77.2のとおり、アナログ出力にRとCで構成されるロウパスフィルターが入っています。

次にそれがどのように実装されているかを、PMOD DACモジュールのデータシートで確認します。

図77.3
図77.3 PMOD DACモジュールデータシート

出力のロウパスフィルターが入っていないことがわかりました。 サンプリング周波数は44.1[KHz]であったので、ロウパスフィルターの時定数を決定します。 図77.2にCを求める式が書かれており、 $$ C=\frac{50+470}{4\pi\cdot 44.1\cdot 10^3\cdot 50\cdot 470}=40[nF]=0.04[\mu F] $$ となることから、アナログ出力に40nFのキャパシタ(0.04$\mu$Fのセラコン等)を挿入すれば良いことになります。


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posted by sakurai on December 20, 2018 #76

データ変換

ROMに入れるデータをVivadoで読めるCOEフォーマットに変換します。以下はwaveの16進ダンプファイルをCOEのデータ部に変換するコマンドです。これにヘッダとトレーラを付ける修正を行いROMデータとします。

$ od -An -t x1 -v input.wav >output.coe

シミュレーション

詳細設計に基づきシミュレーションを実施し、波形を確認し、不具合を修正するというループに入ります。 Vivadoはアナログ波形も表示可能であり、シミュレーションでアナログ波形を確認します。

もちろん全体だけでなく、細かいクロック毎の動きを見ていきます。ステートマシンが期待通りのステート遷移をしているか、LRCLKとシリアルビットデータの並びはDAC仕様に合っているかなどを見ていきます。

図76.1
図76.1 シミュレーション波形

実験

FPGAにビットファイルをダウンロードし、実験します。STARTスイッチを押すと、それなりの音が出ますが、元のファイルをPCで再生した音と若干異なるようです。なにか破裂音が混ざっています。元の音はインベーダが破壊された時の音なので、破裂音が混ざっていても構いませんが、もし音楽だったら聴くに堪えないでしょう。


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posted by sakurai on December 10, 2018 #75

設計指針

設計指針を記述していきます。

  • サウンドデータはwaveフォーマットでROMに8bit単位で格納する。フォーマットは非圧縮PCM、8bit、モノラル、11.025KHzサンプリング
  • FSMはFSMCLKで動作する。FSMCLK=176.4KHz(=1/8*SCK)。
  • 8bitサウンドデータの読み出しは、FSMからアドレスを与えることで行う。
  • FSMから並列直列変換(以降パラシリ)にROMデータを供給する。
  • パラシリでは8bitデータをDACの要求する16bitデータに伸長する。具体的にはROMデータを上部8bitに詰め、下部8bitはゼロを詰める。
  • パラシリのシフトはSCK(=BCLK)で行う。SCK=1.4112MHz。ただし、これを出力しなければ自動的にDACの内部クロックモードとなり、MCLKから適当にシフトクロックを生成するとのこと。
  • パラシリの1フレームはLRCLKの立下りで開始する。LRCLK=44.1KHz(=1/32*SCK)。
  • マスタークロックはMCLK=11.2896MHz
  • 変換されたシリアルデータは1SCK遅らせてDACに出力する。

アーキテクチャ設計

以上の指針からブロック図を書くと以下のようになります。

図75.1
図75.1 サウンドコントローラブロック図

詳細設計

上記ブロック図(アーキテクチャ設計)をもとに、ブロック内部をRTLで記述したものを下図に示します。 SCKはシリアルクロック(=ビットクロック)ですが、内部クロックモードを使用するために、コンスタント出力としています。基本的にZynqを除き、ブロック図と一致しています。

図75.1
図75.1 Vivadoのブロック図

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posted by sakurai on November 30, 2018 #74

前回の続きです。

設計制約

設計制約をリストアップします。

  • LRCLKの1周期に対し、L=16bit, R=16bitの32bitのシリアルデータが必要であり、シリアルデータはSCKでシフトされるので、SCK=LRCLK*32。ただしこのSCKは、DACに供給しなければDAC内部で発生されます。
  • データフォーマットより、サンプリングレートは16進数で16'h2b11=11025、すなわち11.025KHz。LRCLK=Fs(サンプリング周波数)とのことで、LRCLK=11.025KHzとしたいところですが、下図において、LRCLK=11.025KHzが存在しないので、データのほうを4倍のインターポレーションすることにし、LRCLK=44.1KHzとします。
  • 上記関係式よりSCK=1.4112MHz。
  • マスタークロック(MCLK)は下図のように、256, 384, 512, 768, 1024倍等の任意性がありますが、ここでは256倍のMCLK=11.2896MHzを使用します。

図74.1
図74.1クロック表

タイミングチャート

クロックに関する設計制約が解決したので、タイミングチャートを書いていきます。基本的にハードウェアベースのサウンド出力であるため、FSMによるフォーマット解析を行います。タイミングチャートは以下のとおりです。

図74.2
図74.2 タイミングチャート

ステートマシンのクロックFSMCLKは図74.2のように、ステートアドレス、ステートデータ、データアドレス、データデータの4クロックで1サウンドデータの読み出しになることから、$\text{CLK}^{-1}$をCLKの周期と表記すれば、4*$\text{FSMCLK}^{-1}$=2*16*$\text{SCK}^{-1}$、つまり、8*FSMCLK=SCK。これよりFSMCLK=176.4KHz。

DACが要求する16bitデータ×2ch(L, R)の32bitデータについては、データソースが8bitモノラルであるため、8bitデータをMSB側に詰め、残りは0詰めし、16bitとします。LとRには同じデータを供給します。

インタポレーションのやり方はゼロ詰めする方法と、同じデータを繰り返す方法があります。16bit@44.1KHz表現可能なDACに対して8bit@11.025KHzという荒い音質であることから、同じ32bitデータを4回繰り返すことにします。

以上で設計制約から来るクロック周波数とタイミングチャートが確定したので、これに基づいてFSMを設計します。


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posted by sakurai on August 20, 2018 #54

次はサウンドです。音を出すには可聴周波数帯域の適当な振幅のアナログ信号を出力します。そのために前述したPMOD-I2SというDACが必要になります。

製品データシート: https://reference.digilentinc.com/_media/reference/pmod/pmodi2s/pmodi2s_rm.pdf

使用DACデータシート: https://www.mouser.com/ds/2/76/CS4344-45-48_F2-472818.pdf

このデータシートによればステレオの24ビットオーディオDACとのことで、ゲームサウンドには高級すぎますが、それほど高価ではないのでこれを使うことにします。インタフェースはI2Sというシリアルデータです。 マニュアルに掲載されているシリアルデータフォーマットを次の図に示します。

図%%.1
図54.1 シリアルデータフォーマット

16bitデータ2ch(L, R)の32bitデータをシリアルでDACに供給しますが、注意点は図のように1ビットズレていることです。

入力としては、waveファイルをデコードし、シリアルデータを出力するようなモジュールを作成します。以下に入力のwaveフォーマットを示します。 http://sky.geocities.jp/kmaedam/directx9/waveform.html

このwaveをデコードするFSMを設計します。以下にサンプルのwaveフォーマットを示します。

図%%.2
図54.2 waveフォーマット例

入手したwavファイルのサンプリング周波数とデータ精度がバラバラで、ハードで扱うには厳しいので、全て11.025KHz、8bit、Mono、メタデータ無しに変換しておきます。そのコマンドは以下のとおり。

$ ffmpeg -i input.wav -ac 1 -ar 11025 -acodec pcm_u8 -fflags +bitexact -flags:v +bitexact -flags:a +bitexact output.wav

次回に続きます。


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