Posts Tagged with "Incorrect pmhf formula"

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PMHFの計算法の例

posted by sakurai on October 16, 2020 #325

「電子部品信頼性調査研究委員会 研究成果報告書」中のPMHF式

この誤りはどこかで見たと思ったら、財団法人日本電子部品信頼性センター発行の「平成26年度 電子部品信頼性調査研究委員会 研究成果報告書」の33ページにも、同じような式が書かれていたので、図325.1に引用します。

図%%.1
図325.1 ある資料中のPMHF式

前稿のMPFはLF($=\lambda_\text{MPF,lat}$)のみを加えていましたが、この式ではMPF全体となっており、誤りはより悪化しています。これはtypoではなく、図325.1中にも「全体から安全フォールトを除いたもの」とあり、図324.1を参照すれば、SPF/RFに加えMPF全体と考えているようです。ところが、MPFにはlatentとdetected/percievedがあり、後者は安全と考えられるので、より誤り度合いが大きいのです。

前稿でも述べたように、LFは単独ではVSGとならないので、他のフォールトとのDPFとして計算する必要があります。DPF確率は、SMのレイテント確率とIFのフォールト確率の積になります。

図%%.2
図325.2 ある資料中のPMHF計算

本来DPFは、このように2つのフォールト確率から成る確率事象であるため、その確率は非常に小さくなるはずです。具体的には故障率のオーダーが$10^{-9}$、車両寿命が$10^{5}$とすれば、かけ合わせると1万分の一のオーダーです。ところが、図325.2ではDPFが100%になっており、一見して誤りと判定できます。

もっとも$\lambda_\text{SPF/RF}$がゼロならDPF項は必ず100%ですが、そもそも$\lambda_\text{SPF/RF}$がゼロという点が信じられません。その理由はDPF項は経験的に3%未満だからです。


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posted by sakurai on October 15, 2020 #324

「自動車の機能安全と部品安全」中のPMHF式

昆虫採集よろしく、業界内での事例収集を実施中です。アーキテクチャメトリクス(SPFMとLFMの総称)及びPMHFについて、「自動車の機能安全と部品安全ーISO 26262の概要ー」の資料(安部秀二、パナソニック)を見つけました。

その中での、上記メトリクスの計算方法を紹介します。

図%%.1
図324.1 ある資料のメトリクス算出例

この資料によれば、SPFMは資料の$\alpha$、$\beta$、$\delta$を用いて $$ M_\text{SPFM}=1-\frac{\beta}{\alpha}=1-\frac{\sum\left(\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{RF}\right)}{\sum\lambda} \tag{324.1} $$ と表され、LFMは、 $$ M_\text{LFM}=1-\frac{\delta}{\alpha-\beta}=1-\frac{\sum\lambda_\text{DPF,lat}}{\sum\left(\lambda-\lambda_\text{SPF}-\lambda_\text{RF}\right)} \tag{324.2} $$ と表されます。

それぞれ、(324.1)を図122.1のSPFMの規格式、(324.2)を図123.1のLFMの規格式と比較すれば、一致していることがわかります。ここまでは問題ありません。

一方、$M_\text{PMHF}$は、 $$ M_\text{PMHF}=\beta+\delta=\lambda_\text{SPF}+\lambda_\text{RF}+\lambda_\text{DPF,lat} \tag{324.3} $$ (324.3)は誤りです。LFは単一ではVSGを引き起こさないため、アイテムのVSG確率としては、$\img[-0.9em]{/images/withinseminar.png}$ とする必要があります。

これは2015年の資料ですが、いったい(324.3)はどこから来たのでしょうか?


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