Posts Tagged with "FTA"

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FTA (4)

posted by sakurai on November 9, 2016 #23

FTAツール

商用ツールが各種でていますが、ここではフリーで使用可能なツールをご紹介します。まずALDのFault Tree Analyzerはwebベースで無料でFTA解析が可能なようです。ただしFAQにもあるようにこのツールはwebベースであるためサーバ側にデータを蓄積することから、守秘性の高い情報を扱う場合には同社の有償のツールRAM Commanderを使うほうが良いと書かれています。

続いて本ブログでも使用している米国原子力規制委員会で開発されたSAPHIRE。バージョン8.0.9まではRSICCにより無償で提供されています。ただし米国の公的機関で開発されたためか、守秘契約や会社の情報や使徒について、米国の安全保障に問題が無いことが確認される必要があります。最新版は8.1.3であり、SAPHIREユーザーズグループによって有償で提供されます。

無償版のSAPHIREによりFTA(1)で示したFT図を入力したものを示します。

図NEW-FT
図23.1 FT図

これのMCSを導出すると、

図NEW-FTcutsets
図23.2 FTのMCS図

のようになります。1st orderが{E1}, {E2}, {E6}、2nd orderが{E7, E8}、3rd orderが{E3, E4, E5}の計5個のcut setがえられました。ただし元々のFTが複雑でないため、MCSの論理圧縮のご利益はあまりありませんでした。後述するような複雑なFTの場合にはツールの論理圧縮の威力が発揮されます。

本来FTAは基事象の確率に基づきTOP事象の確率を計算するためのものですから、これから基事象の確率を仮定した上でTOP事象確率を計算してみます。

MCSアルゴリズム

実際にMCSを求めるのはどのようなアルゴリズムでしょうか?基本的にはブール代数の基本則に従って論理圧縮を行います。具体的にはブール代数の冪等則、交換則、結合則、吸収則、分配則を用いて 論理の簡単化を行います。


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FTA (3)

posted by sakurai on November 3, 2016 #22

FTAの確率計算の一般式

前稿の例を一般化してみます。FTAの計算は確率計算であるため、確率の包除原理を用いて、TOP事象を侵害する確率$Q_{TOP}$は、 \[ Q_{TOP}(\bigcup_i^nMCS_i)=\sum_{i=1}^nQ(MCS_i)-\sum_{i\lt j}Q(MCS_i\cap MCS_j)+\sum_{i\lt j\lt k}Q(MCS_i\cap MCS_j\cap MCS_k)-\cdots+(-1)^{n-1}Q(\bigcap_{i=1}^n MCS_i)\tag{22.1} \] となります。それぞれのMCSの確率$Q(MCS_i)$は単純に \[ Q(MCS_i)=\prod_{j=1}^mQ(B_j)\tag{22.2} \] で求まります。ここで$Q(B_j)$は$i$番目のMCSに含まれる基事象$B_j$の確率です。 前稿のレアイベント近似を用いれば、$MCS_i$が同時に成立する確率が無視できるものとして、(22.1)は初項のみが残り、 \[ Q_{TOP}(\bigcup_i^nMCS_i)\approx\sum_{i=1}^nQ(MCS_i)\tag{22.3} \] と近似されます。


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FTA (2)

posted by sakurai on October 21, 2016 #21

レアイベント近似

アイテムが故障する確率=トップ事象確率を求めるのがFTAの役割であるため、基事象の確率を求め、それを積算します。それぞれのイベントを$e_i$で表し、イベントの確率を$P\{e_i\}$で表すとき、MCSが$\{1\},\{2\},\{3,4,5\},\{6\},\{7,8\}$で表されるTOP事象の侵害確率P{TOP}は、直列アイテムでの不信頼度の(8.4)と並列アイテムでの不信頼度の(9.2)とを用いて、(21.1)と表されます。 \[ P\{TOP\}=1-(1-P\{e_1\})(1-P\{e_2\})(1-P\{e_3\}P\{e_4\}P\{e_5\})(1-P\{e_6\})(1-P\{e_7\}P\{e_8\})\tag{21.1} \]

ここで、(21.1)の比較的小さい値の項を省略した、ORを加算、ANDを乗算とする計算で求めるレアイベント近似方法があります。 \[ P\{TOP\}\approx P\{e_1\}+P\{e_2\}+P\{e_3\}P\{e_4\}P\{e_5\}+P\{e_6\}+P\{e_7\}P\{e_8\}\tag{21.2} \]

アイテムの故障率(2)で議論したように、これが可能なのは基事象確率が低い場合です。本来はダブルカウント分の確率を引くべきところ、ダブルカウント分の確率が小さく無視可能である場合に限り、レアイベント近似が成立します。


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FTA

posted by sakurai on October 7, 2016 #20

FTAとは

Wikipediaの記事FTAによって定義が示されるとおり、下位アイテム又は外部事象、若しくはこれらの組合せのフォールトモードのいずれが、定められたフォールトモードを発生させ得るか決めるための、フォールトの木形式で表された解析を意味します。基事象(Basic Event)は故障確率を持ち、TOP事象を侵害する確率計算を行います。

FTAの例

図fta1
図20.1 WikipediaのFTA図

図20.1はWikipediaに掲載されているFT(Fault Tree)図です。

MCS, MPS

FTでは基事象、TOP事象は故障の時にtrueとなるという前提をとります。ここでTOP事象=故障を引き起こすための基本事象の組み合わせのうち、最も少ない組み合わせのことをMC(Minimal Cut, 最小カット)と呼び、一般的にそれらは複数あるため全体をMCS(Minimal Cut Set, 最小カット集合)と呼びます。例えば上記のFTAではMCは$\{1\},\{2\},\{3,4,5\},\{6\},\{7,8\}$となります。1のとき、または2のとき、または3かつ4かつ5のとき、または6のとき、または7かつ8のとき、と読みます。

一方、TOP事象が動作のときにtrueとなるツリーも構成できます。この場合、TOP事象=動作となる基本事象の組み合わせのうち、最も少ない組み合わせのことをMP(Minimal Path, 最小パス)と呼び、一般的にそれらは複数あるため全体をMPS(Minimal Path Set, 最小パス集合)と呼びます。

FT解析ではTOP事象=故障となる分析を行うため、MCSが重要です。

RBD図

RBD(Reliability Block Diagram)では、FTとは逆に、動作をtrue、故障をfalseとしてシステム図を構成します。このときに、動作するパスをカットして動作しなくなる最小の組み合わせがMC(=最小カット)となり、その集合がMCSです。

セミナー内
具体的に、上記RBD図に先のMCSを適用すると、$\{1\},\{2\},\{3,4,5\},\{6\},\{7,8\}$のMCはそれぞれがRBDの成功パスをカットして、機能動作をさせなくするカットだということがわかります。例えば$\{1, 2\}$のように複数箇所をカットしても機能動作しなくなりますがこれはMinimalではなく、$\{1\}, \{2\}, ..., \{7, 8\}$がMCとなります。このように、MCSはFTの双対構造であるRBDにおいて定義して初めてその意味を理解できます。その意味では、FTにおいてFTを成立させる(=TOP事象を侵害する)最小の事象の組み合わせは、むしろMPSと呼ぶべきでしょうが、慣用的にRBDでの定義であるMCSと呼ばれます。

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